固食は固い食事ではない

咀嚼についての記事を書こうとしているという新聞記者から、「固食についての情報を」という依頼がありました。どんな情報を求めているのかと聞いたところ、「具体的に身体によい固い食べ物の種類を教えてほしい」とのこと。
勘違いしていることはわかりましたが、固い食べ物ということで、「20回以上は噛んで食べるように言われているが、軟らかいものを20回も噛んだらグチャグチャになるので、20回以上を噛める食品を食べるのが正しいのでは」という話をして、具体的な食品として食物繊維の中でも不溶性食物繊維が多く含まれる食品について話をさせてもらいました。
勘違いということを書きましたが、“固食”というのは固い食べ物のことではなくて、固定的に食べている食事のことを指しています。どこかで固食という言葉を見て、固い食べ物と思ってしまったようです。固定的というのは、いつも朝食は同じ内容、昼食で外食するのは同じ店、夕食はお酒と一緒なのでおかずの種類が決まっている、というようなことを指しています。決まっている食事というのは食べやすい料理が多く、固いものというよりも逆に軟らかいものばかりを食べがちになってしまいます。
軟らかい食事というと、ご飯、パン、麺類などが多くなりがちで、これらは“粉食”と書いて“こしょく”と読みます。粉食は噛む回数が減るので、固いものを食べる健康効果とは逆の結果になってしまいます。糖質制限がヒットしている時代に、糖質が多く含まれる粉物を多く食べることになるわけですが、これでは肝心な栄養素が摂りにくくなります。
粉物が増えても、ビタミンやミネラルが豊富な食品を多めに食べていれば、糖質や脂質が多めになっても、これを燃焼させる効果が落ちることはなくなります。しかし、若い女性は食事量が減りがちで、もう一つの“こしょく”が起こっています。漢字では“小食”と書きます。ダイエットのために食べる量を減らすときであっても、代謝に必要なおかずの量は減らすことなく、主食のほうを減らすことを考えるようにしたいものです。
中でも必要なものは、糖質の代謝に必要なビタミンB₁、脂質の代謝に必要なビタミンB₂ですが、体脂肪を代謝によってエネルギーにするためにはビタミンB₁、ビタミンB₂、ビタミンB₆、ビタミンB₁₂がセットで必要になります。これらのビタミンB群については、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。