疲労感は動かないと解消されない

運動をしたり、頭脳労働をし続けていると、疲れを感じます。疲労感は心身の疲労を感じることだと思われていて、疲労感を感じたときには疲労を解消するために身体を休めることが必要だとも考えられています。しかし、実際には疲労がたまってきた結果として疲労感を感じるとは限りません。身体は疲れていないのに、脳で疲労を感じるということもあります。ありますというよりも、むしろ脳で疲労を感じていることのほうが多くなっています。
脳で疲労を感じることができないと、疲労の原因となっている心身の活動をストップさせることができなくなって、疲れはたまる一方となります。身体が疲れているときには、細胞の中で発生した疲労物質の乳酸が多く蓄積された状態となっています。乳酸は悪いことばかりではなくて、エネルギー物質にもなるので、悪者扱いしないでほしいという風潮もありますが、乳酸がたまりすぎると筋肉の動きが制限されるようになります。これによって身体を休ませるのが乳酸の役割でもあります。
脳が疲れてくるとしたら、脳を休ませるのが一つの方法となるわけですが、脳は身体を休めれば、それに応じて休んでくれるものではなくて、ピークに近づくほど興奮状態になった脳は眠ったとしても元の状態にすぐには戻ってくれません。では、どうしたらよいのかというと、興奮がピークに達する前に、これまで続けてきたことを止めるか、別のことをして脳の別の機能を働かせることで、興奮状態を抑えるようにすることです。
疲労感があるからといって身体を休めてばかりでは、かえって疲労が蓄積していくことになります。乳酸を分解する効果があるのは有酸素運動です。有酸素運動をすると、ブドウ糖と脂肪酸を材料にしてエネルギーが発生します。エネルギーを作り出しているのは全身の細胞の中に存在しているミトコンドリアです。ここで作り出されたエネルギーが、それぞれの細胞を働かせます。エネルギーは他の細胞では使われないので、いわば地産地消の状態となっています。
簡単にできる有酸素運動はウォーキングです。歩くことは足で地面を感じ、状況に合わせて身体を変化させ、あらゆる情報を刺激として受けながら脳をフル回転させています。フル回転したら脳が疲れるのではないかと思われるかもしれませんが、歩くと脳に酸素が多く運ばれ、脳で発生するエネルギーも増えていきます。このエネルギーが脳の疲労を取り、正常に働かせるための源になります。
疲労が蓄積しつつある脳細胞が、それぞれ回復をするためにエネルギーを作り出すためには、酸素と同時にエネルギー源が必要です。脳のエネルギー源になるのはブドウ糖だけなので、疲れたときには甘いものを食べたり飲んだりすることは大切なことだということがわかります。