地域の特産物だけでダイエットできるか

メディカルダイエットという名称のために得をすることもあれば損をすることもあります。「ダイエットとメディカルダイエットは違う」という説明を、いちいちしなければならないことなどは別に損と感じることもありません。
メディカルダイエットが示す中身は、やせるダイエットから生活習慣病予防のための健康法、体質改善まで守備範囲は広いほうです。例えば、日本人特有の体質の弱点をカバーして、生活習慣病に関わる検査数値が基準値を超えていても、元気で長生きできる方法を学び、実践する場を提供するサービスの提案を団体や自治体にしてきたときも、損と感じるような発言が参加者からありました。
「病気が心配な人の多くは太っているので、それを解消する方法を教えてほしい」という内容で、太っている人がやれば生活習慣病が予防できて、元気で長生きできるのだから……ということは大筋では間違っていません。しかし、「やせるために何を食べればいいのか」とか「うちの町の農産物なら何を食べればいいのか」という話が出てくると、ちょっと、というよりも、かなり違和感を覚えることにもなります。人によっては何をプラスして食べるかの前に、何を減らすかを考えなければならない人がたくさんいます。
糖質制限は歯止めが効かなくなって極端に走る人もいるので、パーソナルトレーニング式でないとすすめにくいこともありますが、この人に限っては、まず糖質制限をして食べる量を減らして、肝臓での脂肪の合成も抑えたほうがよいのでは、と思える場合も多々あります。
もちろん食べることは重要で、特にメディカルダイエットの実践のためには、脂肪の代謝促進によって体脂肪を減らしていくために欠かせない栄養素や成分を摂ることが、まずは第一条件となります。食べる量を減らしているのに、なかなかやせないという人の多くは、食べすぎというよりも、代謝成分が不足しているために他人と同じことをしているのに結果が出ないという人も少なくないのです。
体脂肪として蓄積している脂肪を細胞のミトコンドリアの中で代謝促進させるためには、つまり一般に言われる脂肪燃焼のためには、ビタミンB群のビタミンB₁、ビタミンB₂、ビタミンB₆、ビタミンB₁₂は欠かすわけにはいきません。この4種類のビタミンB群がセットでエネルギー代謝機関のTCA回路で使われることで代謝は完成します。一つでも欠けてしまったら、代謝は大きく低下することになります。
この4種類のビタミンB群を、たった一つの食品でカバーしようと思ったらレバーを食べるしかありません。レバーは好き嫌いもあり、特産物として提供するのにも抵抗があります。1日に1回だけ出すのなら、まだメニューの考えようもありますが、ビタミンB₆、ビタミンB₁₂は半日ほどしか体内で保持されないので、朝食と夕食に出す必要があることから、もっとメニュー作りは大変になります。これは極端な例ですが、特産物だけでダイエット効果を出すのは難しいことです。
あるダイエットの専門家が、「活性酸素を減らせば代謝が高まってやせられる」と言い切っています。そう言い切れる人は、羨ましくて仕方がないのですが、活性酸素で代謝が低下するのは事実であっても、だから活性酸素を消去すれば代謝が高まるとは言いにくいところです。活性酸素が過剰になければ代謝の低下はなくなったとしても、平常状態よりも高まるということを証明するのは困難なことです。
活性酸素を消去するビタミン、抗酸化物質は数多くあるので、さまざまな食材を組み合わせることは可能です。それによって色鮮やかさにも味にもバリエーションがつけられるのですが、目的であるダイエット効果が期待するほどでなかったら、工夫して、苦労してメニューを開発する意味がなくなります。
特産物といっても、どこでも買えるような食品であったら、それを目的に足を運んだり、買っていったり、その食品がある地域に住もうという移住意欲が湧くことは困難かもしれません。そこも意識して特産物の中からメニューに入れ込むものを決めなければならないということです。