天井が回るという感覚

ふらつきがあって立っていられなくなり、横になっても天井が回っているように感じると訴えると、まずはメニエール病が疑われるというので、耳鼻科に案内されます。しかし、耳に異常が認められないとなって、いろいろと検査をした結果、よく原因がわからないと自律神経の乱れか精神的なものと言われます。それを体験したのが日本メディカルダイエット支援機構の理事長で、精神的なものというのは「気のせい」です。
私たちが機能性食品の研究と情報発信を始めたころに、厚生労働層の栄養担当から「機能性食品は“うの字”はいらない」と言われたことがあります。今のように、機能性表示食品が認められる前の話ですが、機能性(きのうせい)から“う”を除いたら“きのせい”、つまり気のせい食品という言われ方をした時代もあったということです。
天井がグルグル回ると言われても、その重大性が実感できずに、気のせいというような認識をしがちだったこともありましたが、自ら体験すると、どんなに苦しいことなのか、どんなに不安を感じるのかということが理解できて、自律神経のせいというよくわからない診断であっても、真剣に話を聞いてあげないといけないと感じたものです。
天井が回るという状態が、他にも原因があるのかと手持ちの文献を見ていたら、面白い表現を見つけました。なんと「天丼が回る」と書かれていました。横になって天丼が回るように見えたら……と書かれていたことに引っかかってしまい、具体的な原因は頭に入ってきませんでした。寝そべって、視界に天丼が見えたとすると、どういうことなのかということを考えてみると、天丼かカツ丼か親子丼かは蓋を取って上から見なければなりません。下から見上げて丼の中身がわかるようにするにはひっくり返さないといけないので、顔をめがけて落ちてきます。そんな状況で天丼が回るとなると、もうどうしていいかわからなくなってしまいます。
冗談は、ここまでにして、これは井と丼の間違いです。今ではパソコンの打ち込みが当たり前で、天上とか添乗、点状と変換されて、この手の変換ミスは起こっても、天井と打ち込んだのに天丼となることはありません。古い文献なので、原稿を読みながら印字の文字を拾っていた時代だから起こることです。
と思っていたら、印刷されたものを原稿にして打ち込む場合には読み間違えで似たような文字になることが起こります。以前に、まとめサイトが私たちのダイエット原稿を勝手に流用して、読み方がわからないために妙な打ち込みをされたものが出回ったことがあります。これを目にしたときに、まさに天丼が回るような、いや天井が回るようなショックを受けたものです。