学習障害21 ひらがな特有の表記の難解さ

学習障害の識字障害、書字障害の改善支援の壁となっていることに、ひらがなの特有の表記があげられます。この表記には法則があるので、それを充分に理解して学習が進められるように、「学んで知っているはず」という認識ではなく、「念のために再学習する」という考えで、一つひとつ確かめていくことが大切です。
法則の1は用法の異なりで、1音に2文字が対応しているものが5種類あることです。それは「じ」と「ぢ」、「ず」と「づ」、「わ」と「は」、「お」と「を」、「え」と「へ」です。
法則の2は拗音で、1音を2文字で表すものです。それは「きゃ、きゅ、きょ」、「ぎゃ、ぎゅ、ぎょ」、「しゃ、しゅ、しょ」、「じゃ、じゅ、じょ」、「ちゃ、ちゅ、ちょ」、「にゃ、にゅ、にょ」、「ひゃ、ひゅ、ひょ」、「びゃ、びゅ、びょ」、「ぴゃ、ぴゅ、ぴょ」、「みゃ、みゅ、みょ」、「りゃ、りゅ、りょ」です。
法則の3は長音で、母音を2音分の長さにして2文字で表すものです。あ段、い段、う段の長音は「あ」「い」「う」をつけるのが原則です。あ段の場合は、例えば「お母さん」は「おかあさん」と表記して、「かあ」ではなく「かー」と発音します。え段の場合は「え」ではなく「い」をつけます。例えば「英語」は「ええご」ではなく「えいご」と表記して、「えいご」ではなく「えーご」と発音します。お段の場合は「お」ではなく「う」をつけます。例えば「王様」は「おおさま」ではなく「おうさま」と表記して「おうさま」ではなく「おーさま」と発音します。
ただし、え段とお段には例外があります。え段の例外としては「い」ではなく「え」と表記するものがあり、例えば「お姉さん」は「おねいさん」ではなく「おねえさん」と表記します。お段の例外としては「う」ではなく「お」と表記するものがあり、例えば「大きい」は「おうきい」ではなく「おおきい」と表記します。
お段の長音の例外の中で、小学生で覚えるのは「大きい」「多い」「遠い」「通る」「氷」「十」「狼」です。これを覚えるために、多くの小学校では「遠く(とおく)の大きな(おおきな)氷(こおり)の上に、多く(おおくの)の狼(おおかみ)、十(とお)ずつ通った(とおった)」というフレーズを覚えるように教えています。
法則の4は促音で、無音の1音分の部分を「っ」と表すものです。例えば、切手は「きって」と表記して「っ」は読まないようにします。
法則の5は撥音で、子音を鼻音の「ん」で表すものです。