アルコールの糖質制限なら太らないのか

「酒は飲みたい、されど太りたくない」というのは飲酒好きの人なら普通に考えることです。アルコールのエネルギー量は1gあたり約7kcalで、脂質の約9kcalに比べると低いものの、糖質とたんぱく質の約4kcalに比べると、かなりのエネルギー量があります。約7kcalというのは100%アルコールのことで、アルコール度数が低ければ、それほどのエネルギー量ではないことになります。アルコール度数が同じであれば同じだけ太るというのが一般的な考えですが、そうではないというのが糖質制限を支持する専門家が口にすることです。
アルコール飲料にはアルコールだけでなく、糖質が含まれているものも多く、それが太らせる原因になっているということで、糖質が多い醸造酒を避けて、糖質が含まれていない蒸留酒なら大丈夫と主張しています。醸造酒は日本酒、ビール、ワインなどで、蒸留酒は焼酎、ウイスキー、ブランデーなどです。
糖質制限によってダイエットをすすめている専門家の考えは、「糖質に含まれるブドウ糖が血糖値を上昇させる→血糖値が上昇するほど膵臓からインスリンが多く分泌される→インスリンによって肝臓で脂肪酸が合成される→脂肪酸が多くなると中性脂肪が多く作られる→中性脂肪が脂肪細胞に蓄積される」という流れで、だから糖質を摂ることによって太ると説明されています。
身体のメカニズムとしては間違いではないのですが、だから糖質の含まれていない蒸留酒なら太らないという結論とはなりません。というのは、肝臓での脂肪酸合成は、アルコールによって促進されるからです。飲酒量が増えると、それだけ肝臓で合成される脂肪酸が増えていくので、食事による脂質の量、糖質の量が少ないようでも食事のときに飲酒をすると、まるで脂質と糖質を多く摂ったのと同じように肝臓の中で脂肪酸が多く作られ、中性脂肪を増やしていきます。中性脂肪はアルコールの一種のグリセロール1個が脂肪酸3個を結びつけたものです。貯蔵型、蓄積型の脂肪であるので、中性脂肪が増えれば、それだけ太っていくことになるのです。