日本人は健康寿命が短くなったのか

日本人の平均寿命は世界のトップランクです。30年以上に渡って世界第1位でしたが、香港にトップの座を譲り、第2位となっています。それでも日本人の平均寿命は過去最高となっています。
平均寿命は延び続けているものの、平均寿命と健康寿命の差は男性で9年以上、女性で12年以上もあるため、日本人は健康寿命が短くなっているような印象が抱かれることもあります。健康寿命の国際比較のデータ(2015年)を見ると、第1位は日本で74.9歳となっています。これに次いで第2位はシンガポール、第3位は韓国、第4位はスイス、第5位はイスラエル、第6位はイタリア、第7位はアイスランド、第8位はフランス、第9位はスペイン、第10位はカナダの順となっています。ちなみにアメリカは第36位、中国は第41位です。日本を平均寿命で抜いた香港はランク外です。ということは、香港は平均寿命と健康寿命と差が長いということです。
日本人は健康寿命が世界で一番長いということですが、疾病で亡くなる人の割合の高さや重病度から受ける印象とは違っています。平均寿命が延びると、高齢になるほど増える疾病となる人が多くなるので、どうしても患者の数、病気で亡くなる人が増えるのは仕方がないことです。患者の多さは平均年齢の高さも関係しています。
国民平均年齢(中央年齢)のデータ(2015年)をみると、日本は46.35歳と世界第1位です。2位以下はイタリア、ドイツ、ポルトガル、マルティニーク、ブルガリア、ギリシャ、オーストリア、香港、スペインの順で、アメリカは51位、中国は56位となっています。マルティークはフランスの海外県でカリブ海の島で、リゾート移住が多いことから平均年齢が高くなっています。
平均寿命は、その年に生まれた赤ん坊が今の生活環境、経済状態が継続したと想定して割り出した平均余命のことなので、実際の寿命とは一致していません。そのために戦争の後などには急に平均寿命が長くなることがあります。日本も1947年に男性が50歳を超えたのが、3年後に60歳に達したというのは、まさにその好例とされます。
健康長寿は、寿命を全うするまで、できるだけ健康でいる期間を延ばすことによって得られるものです。どれくらい幸せな長生きであったのかを知るためには、平均寿命と健康寿命との差を見ることも必要でしょうが、国民平均年齢の順位と健康寿命の順位を見比べて、順位を高めた理由を探ることも必要ではないでしょうか。