検査結果が改善したら肉を食べてもよいのか

脂質異常症をテーマにしたテレビ番組で、脂質異常症と診断された人が食事の改善を指示されて、「脂肪が多く含まれている肉を食べないようにした」と話しているシーンが映し出されていました。脂質異常症は高中性脂肪血症、高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症のいずれかとなっているときに診断されるもので、以前は高脂血症と呼ばれていました。高中性脂肪血症と高LDLコレステロール血症は数値が高いことで動脈硬化のリスクが高くなるのですが、低HDLコレステロール血症のほうは数値が低いことでリスクが高くなることから、2007年に日本動脈硬化学会のガイドラインによって名称が変更されました。
テレビ番組に登場した専門医は、食事の注意として摂取エネルギー量を抑えることの重要性を示して、食べ過ぎを控えるようにと言っていました。同じ重量でエネルギー量を比較すると、糖質とたんぱく質は1gあたり約4kcalに対して、脂質は約9kcalと2倍以上になっています。エネルギー量が多い脂肪を減らせば、確かに全体の摂取エネルギー量は減るのですが、高齢者は筋肉を衰えさせないように「肉を食べよう」と言われる時代だけに、専門医は肉を食べない、肉を減らすというようなことは言わずに、摂取エネルギー量の抑制という基本的な説明をしたわけです。
番組では、脂質異常症の人が肉を食べないようにすることで、中性脂肪値とLDLコレステロール値が下がって、正常値になったことを紹介していましたが、そのあとの言葉が衝撃的で、「これで肉が食べられる」と言っていました。血液検査の結果がよくなったので、これまでの食事を続けようというならわかるものの、改善できたから元の食事に戻そうというのは間違った判断だと思うのですが、そんな考え方をする人は案外と多いのです。そんな考えになるのも、“肉断ち”という極端なことをするからで、脂肪の多い牛肉から豚肉や鶏肉にする、脂肪の量を減らすといったことをするべきでした。極端なことは反動が大きくて、前よりも悪い結果になってしまうリバウンドのようなことがないことを願いながら番組を最後まで見たものです。