発達障害と勘違いされがちなHSC

発達障害の自閉症スペクトラム障害は、ハイリー・センシティブ・チャイルド(HSC)と勘違いされることがあります。HSCは、生まれつき周囲の刺激や他人の気持ちに非常に敏感なために疲れやすく、傷つきやすい子どものことで、アメリカの心理学者のエレイン・N・アーロン博士が、この概念を初めて打ち出しました。国籍や性別に関わらず、5人に1人の割合で存在しているとされていますが、これは生まれ持った気質であって、病気でも障害でもないことから、治す必要がないものとされています。
優しい性格で、思いやりがあって、思慮深いと、よい気質であり、感受性が豊かで、通常ならとてもよい性格とされることです。しかし、繊細すぎることから本人に対して刺激があっただけでなく、他の子どもが叱られたりしただけで苦しくなったり、ちょっとした刺激(音や光など)で体調が悪くなるといったことから、集団生活が苦手となっています。表面上では自閉症スペクトラム障害の感覚過敏と見分けがつきにくいことがあります。
ただでも発達障害は社会に理解されていないので、もっとHSCは理解されにくく、発達障害の早期発見法が進んでいるのに対して、HSCのほうは発見法が確立されていないことから、自閉症スペクトラム障害と混同されたり、気づかずに放置されることさえ起こっています。
というのは、周囲の刺激による感情や気分の変化、周囲の雰囲気、音や光などへの環境などの、どこに敏感に反応するかが個人によって大きく異なっているからです。自閉症スペクトラム障害なら積極的・消極的で分類するなら消極的、引っ込み思案ということでわかりやすいのですが、HSCは消極的な子どもだけでなく、積極的で多動的な行動をする子どもも30%ほど存在しているとされて、見分けにくいのです。
次回はHSCのチェック法を紹介します。