極小サイズで吸収させるシクロデキストリン

サプリメントの吸収率が低いのは化学的な性質にもよるのですが、分子のサイズによっても吸収率は大きく異なります。腸壁を通過できるサイズは決まっているので、それ以上のサイズのものは腸から通過されず、排泄されます。そのために吸収率を高めるためには、サイズを小さくする加工がされています。逆に、通過させたくないものは分子を大きくします。そのものを大きくできないときには、水溶性食物繊維を用いて、分子が集まるようにして通過を妨げる方法も使われます。
通過させるための方法としては、シクロデキストリンを用いて小さなサイズにして吸収させるという方法もあります。シクロデキストリンで吸収のために使われるのは、ブドウ糖が8個、輪になってつながったタイプです。輪になることから環状オリゴ糖とも呼ばれます。オリゴ糖はブドウ糖が複数つながったもので、鎖状につながるのではなくて輪になっているとうことで環状オリゴというわけです。シクロデキストリンの内径は1nm(ナノメートル)という遺伝子のDNAと同様のサイズとなっています。この極小の輪の中に、吸収させる成分を入れ込むことで、高率で効率よく吸収させることができます。
吸収率が高いものとしてナノサイズの成分があげられます。ナノサイズというと、なんだか吸収されやすい感じがしますが、“ナノサイズ”と表現できるのは100nmまでの大きさです。シクロデキストリンのサイズは1nmです。これを見て、100nmは100倍だと思ったら大間違いです。立体は「縦×横×高さ」となります。一辺が100nmだと全体量は100×100×100で100万nmとなります。つまり1mm(ミリメートル)です。
吸収の世界では1mmは大きすぎるサイズで、そのままでは吸収できない大きさとなっています。ナノサイズというイメージに迷わされるのではなくて、どれくらいの大きさなのかを確認してから使うようにしたいものです。