歩いて増やす成長ホルモン

成長ホルモンは、成長期の子どもの場合には一日中、多く分泌されていますが、その時期を過ぎると運動後と睡眠中にしか多くは分泌されなくなります。成長ホルモンを効果的に分泌させるためには運動をすることが、まずは大切になります。成長ホルモンは筋肉を増やす働きをしているので、筋肉に強い負荷がかかるような筋肉トレーニングをしなければならないと思われることがありますが、無理に負荷をかけるような運動をする必要はありません。もちろん、負荷をかける運動をしたときのほうが成長ホルモンの分泌量が多くなるのは当然のことですが、ウォーキングのような有酸素運動でも分泌量は高まります。
しかし、筋肉トレーニングをしたときと比べると、どうしても少なくなるので、これを補うことをしなければなりません。それは睡眠時間を確保して、しかも熟睡をすることです。運動をしなかった日にも睡眠中には成長ホルモンが多く分泌されます。このことについては次の機会に紹介します。
睡眠中に成長ホルモンが特に多く分泌される時間帯は深夜の0〜2時です。この時間帯に寝ていればよいということではなくて、熟睡している必要があります。睡眠のリズムは眠りが浅いレム睡眠と、眠りが深いノンレム睡眠を繰り返しています。平均的には90分周期で、45分をかけて眠りが深くなり、その後には45分をかけて眠りが浅くなっていきます。このことを考えると、寝つくまでの時間も入れて、23時過ぎから遅くとも1時までには就寝するようにします。
これは若い世代のことで、高齢者は自律神経の調整が変化をしています。交感神経の働きは年齢を重ねても低下することはないのですが、副交感神経の働きは年齢を重ねるほど低下する傾向があります。リラックス作用がある副交感神経の働きが低下してくると、寝ている間の興奮が抑えきれなくなり、どうしても熟睡しにくくなります。そのために成長ホルモンが少なくなり、せっかくのウォーキングによる筋肉強化の能力が低下してしまいます。高齢者は筋肉を刺激する運動をしても筋肉が増えにくくなる理由は複数あるのですが、睡眠も大きく関係しているのです。