毛細血管を若返らせるウォーキング

有酸素運動のウォーキングは血流を盛んにすることから、ウォーキングと血管の話をすると大動脈や冠動脈などが注目されがちで、その先の重要な血管である毛細血管の話は後回しになりがちです。もっとも太い大動脈は直径が3cmほどもあります。500円硬貨の太さになります。それに対して毛細血管は5〜10μm(マイクロメートル)の太さで、平均すると8μmです。10μmでも100分の1mm(0.01mm)です。「毛の細さの血管」と書かれますが、髪の毛というよりも蜘蛛の糸の太さとなっています。そんなにも細い血管の中を通過する赤血球は直径が10μmほどなので、赤血球がつぶれるようにして通過していきます。これと毛細血管の弾力性によってスムーズに通過していくことができます。
年齢を重ねると毛細血管の弾力性が低下して、通過しにくくなっていきます。毛細血管の弾力性を高めるためにはウォーキングが有効となります。血流が盛んになると、血管の摩擦が強まって、血管の内皮で一酸化窒素が作られるようになります。一酸化窒素には血管を柔らかくする作用があるので、血流を盛んにするような歩き方をすることが必要になります。ただ、歩けば血管の弾力性が高まるわけではないのです。歩幅を広げて、勢いよく歩くことがすすめられるのは、こういった意味もあったのです。
元気なウォーキングによって血管の弾力性を高めて、赤血球が通過しにくくなることがあります。それは血糖値の上昇です。血糖は血液中のブドウ糖のことで、ブドウ糖が多くなりすぎると、赤血球にブドウ糖が付着してベタつくようになります。その結果として、赤血球がくっつくようになり、くっついてしまった2個以上の赤血球は毛細血管を通過できなくなります。全部の赤血球が通過できないわけではないものの、血糖値が上昇するほど通過できる赤血球が減り、全身の細胞に届けられる酸素の量が減り、細胞の働きを低下させることにもなります。
ウォーキングはブドウ糖がエネルギー源になります。中でも歩き始めて15分くらいまではブドウ糖が代謝のエネルギー源中心となっているので、長くは歩けないという人でも15分くらいのウォーキングを1日に何回かするのは健康効果を高めるのに有効だということです。