発達障害児は薬が苦手な特別な理由

子ども用の薬は飲みやすいように作られているというイメージがあります。苦い薬は甘いコーティングがされています。しかし、重度の病気の場合には、わざわざコーティングを外している場合もあります。これでは通常でも飲みにくいことになりますが、発達障害の子どもの中には感覚過敏があり、味覚過敏のために薬を飲ませるのに親が苦労しているという悩みを聞くことがあります。
薬が苦いのは苦い成分が水に溶けにくいからで、水に溶けにくくすることで吸収しやすくするために、あえて苦くしています。どうして重度の子どもの場合にコーティングが外されているのかというと、病気によっては子ども用の薬が作られていないことがあるからです。入院している子どものうち40%ほどが大人用の薬を使用しているという実態があります。
薬は身体の大きさや代謝能力によって使用される量が違います。子どもの場合は量が減らされるわけですが、大人用の薬を使用するときには、薬をすり潰して、そこから子ども用の量を取り出すようにされています。すり潰すときにコーティングが外れて、苦い薬を、そのまま飲まなければならないことになるのです。
子どもの数が急激に減る超少子化のために、子ども用の薬を開発しても販売量が少なく、開発費が高くなるという事情もあるのですが、欧米では薬を開発するときには子ども用も同時に開発するのが一般的です。中には義務づけられている国もあります。
発達障害児は、味覚過敏、触覚過敏から通常の食品、料理でさえ食べられないということがみられますが、味覚過敏で特に厄介なのは苦味に対する過敏反応です。苦味は、そもそも有害物に特徴的な味で、幼いときには食べられないものが、だんだんと味に慣れていって食べられるようになっていくのが通常の発育です。しかし、味覚過敏だと苦味への拒否反応が強いまま成長するので、苦い薬には強い拒否反応があり、それがコーティングなしで飲むとなると、飲むことは苦痛でしかないという実情を知ってほしいのです。