照明を点けての睡眠で太る理由

新たなダイエット法が発表されるたびに、メディアから問い合わせがあります。その多くは、説明されているメカニズムは本当か、誰にも同じことが言えるのか、それとも人によって違うのか、といったことなのですが、今回の問い合わせは違っていました。「寝るときに室内の照明を点けていると太るというアメリカの調査結果の理由を聞きたい」というものでした。その発表は耳にしていて、というかネット情報で目にしていて、おそらく理由は……と思ってもいたので、すぐに返答しました。
この問い合わせの基本的なところですが、アメリカのNIH(国立健康研究所)が大規模調査を分析する中で、照明を消して寝る人と照明を点けて寝る人との太りやすさの程度に明らかな違いが見られたことから、その発表がされました。対象者は、なぜか女性だけで、照明を点けて寝る人は点けないで寝る人に比べて、5kg以上の体重増となった人が17%以上もいたということです。これだけの差は、理由を追求して、これをダイエットに活かしたいという気持ちにさせるには充分な結果です。
室内の照明が点いていると目を照明が刺激をするために寝つきにくい人がいる一方で、暗いと寝つきにくいという人もいます。暗いほうが寝つきやすいという人でも、何も光がない真っ暗な部屋だと緊張感が高まって、寝つきにくいという人がほとんどです。寝るときにはリラックス効果がある自律神経の副交感神経の働きが盛んになっている必要があるのですが、興奮作用がある交感神経は明るすぎても暗すぎても働きが盛んになるので、適度な照明は睡眠にはプラスになります。
では、照明の何が問題なのかというと、眠りが浅くなったときに与える影響です。睡眠は90分周期のリズムがあって、45分かけて深い眠りになり、45分かけて浅い眠りになります。浅い状態のときにレム睡眠といって眼球が動いています。このときに夢を見ていて、眠りが浅いときに視覚、聴覚、嗅覚、触覚といった刺激があると目が覚めることがあります。目が覚めないまでも、眠りがかなり浅くなっていて、次の深い眠りが得にくくなります。
睡眠中には、寝ている間に脂肪を分解してエネルギー源にするコルチゾールというホルモンが分泌されています。コルチゾールは通常はストレスホルモンなのですが、ダイエットということではコルチゾールの分泌は大切です。コルチゾールが多く分泌されるのは深夜の2〜4時の間で、このときに熟睡している必要があります。この時間帯に眠りが浅くなっているとコルチゾールの分泌が少ない、脂肪の分解が少ない、そのために寝ている間の脂肪の燃焼が少ないということになるのです。