牛肉よりも豚肉のほうが健康によいとされる理由

『日本人の食事摂取基準』では脂肪の摂取割合は全エネルギー源の中で20〜30%とされています。『日本人の食事摂取基準』は5年に1回更新されていて、現在の2015年版と次に予定されている2020年版では20〜30%なのですが、その前の2010年版では20〜25%となっていました。この変化は単純に脂肪を多く摂ってよくなったというよりも、肉類に多く含まれる飽和脂肪酸の割合を7%以下にして、魚類や植物油に多く含まれる不飽和脂肪酸を多く摂ることが健康増進に役立つということを示しています。
肉類でも飽和脂肪酸の割合は異なっていて、一般には牛肉には多く豚肉、鶏肉の順に少ないとされています。しかし、部位によって含有量は異なっていて、例えば牛肉(和牛)はサーロイン(脂身付き)が16.29g、バラ肉が15.54g、リブロースが14.92g、サーロイン(脂身なし)14.64g、肩ロース(脂身付き)が12.19g、肩ロース(脂身なし)11.88g、もも(脂身なし)4.64gと大きな差があります。
豚肉では、豚ばらが12.95g、豚ロース(脂身付き)が7.87g、豚肩ロース(脂身なし)が6.00g、豚ロース(脂身なし)が4.74g、豚もも(脂身付き)が3.59g、豚もも(脂身なし)が2.01g、豚ヒレが0.56gとなっています。脂肪の量が多いものは飽和脂肪酸が多いことがわかります。
鶏肉では、鶏皮が16.30g、鶏もも(皮付き)が4.30g、鶏むね(皮付き)が3.53g、鶏むね(皮なし)が0.39g、鶏ささみが0.17gとなっていて、皮には脂肪が多いことがわかります。
では、脂肪が少なければよいのかというと、牛は血液温度が高くて、その血液中で溶けている飽和脂肪酸は低い温度の中に入ると固まる性質があります。人間の血液温度は低めなので、どうしても固まりやすくなっています。豚肉と鶏肉は牛肉に比べると固まりにくいといっても、人間よりも血液温度は高いので、食べすぎると血液がドロドロになりやすいのは同じことです。