発達栄養学48 発達障害で牛乳が苦手になる理由1

発達障害では偏食がみられることが多く、中でも自閉症スペクトラム障害の子どもでは極端な偏食が特徴的にみられます。その中でも牛乳嫌いは必ずといってよいほど話題となる克服すべき状態です。というのは、子どもの成長には欠かすことができないもので、母乳もしくは粉ミルクで育った乳幼児が次に飲むのが牛乳で、牛乳を基本にして食品からの栄養摂取が組み立てられていると言ってもよいほどです。
たんぱく質への過敏反応から牛乳アレルギーになっている場合は別として、発達障害で牛乳が飲めないというのは単なる好き嫌いという状態ではありません。味や舌触りなどの感じ方や独特のこだわりが関係していて、単に飲食の工夫をすればよい、慣れさせればよいということではありません。無理に飲ませたり、子どもに気づかれないように料理などに加えたことがきっかけとなって、さらに厳しい絶対に食べられない偏食になるということも珍しくありません。
どのような原因で偏食になっているのか、牛乳が飲めなくなっているのかを知って、飲めるように改善していくことができるなら、その方法に取り組むようにしたいものです。
牛乳のにおいがダメという子どもは、感覚過敏のうち嗅覚過敏になっていることが考えられます。通常ではにおいを感じないようなものであっても、強烈なにおいに感じることがあります。においだけなら克服が可能であっても、これに舌触りの触覚過敏や温度に対する触覚過敏が加わると、牛乳を身体的に拒否するようになります。口当たりについても温度が感覚過敏となることがあり、飲み込んだあとにも牛乳のヌメリが残って、これが触覚過敏を起こす原因になっています。
このほかの原因については、次回に紹介します。