発達障害では感覚過敏だけでなく感覚鈍麻もある

発達障害の自閉症スペクトラム障害には感覚過敏が多くみられて、これが極端な偏食につながり、脳と身体の発育に影響を与えていることについては、各方面から伝えられていることです。それだけ深刻で、多くの専門家が対応に当たっている証拠でもあります。このコーナーでも何度か取り上げてきました。
その感覚過敏とは逆に、感覚が鈍いために身体的トラブルを起こしかねないと指摘されているのが感覚鈍麻です。五感の鈍麻で、味覚鈍麻の場合には味の感覚が鈍感で、微妙な味わいの区別ができないだけでなく、辛いものや酸っぱいものなど刺激的な味も平気で食べられるという特徴があります。そのために、何にでも塩や醤油などをかけて食べるということもします。
味覚と嗅覚は連動していることが知られていますが、嗅覚鈍麻はにおい(匂い、臭い)にも鈍感で、においの区別ができないということも起こります。においを嗅いで安全に食べられるのかを確認するということは今では少なくなったようで、そのために疑いなく口に運んで、それが食中毒を一気に広めることになるということもあります。
触覚鈍麻は、温度の変化に鈍感で暑さや寒さが平気、冬でも薄着など温度に鈍感で季節に合わない服を着ている、砂利道を素足で走り回る、ケガをしても痛みに鈍感、刺激を求めて血が出るまで腕を掻く、熱いものも平気で飲めるという危険につながることもやってしまうことにもなります。
視覚鈍麻は、まぶしいものも平気で、カメラのフラッシュの刺激にひかれる、光や太陽などのまぶしいものを止めるまで見続けるということもしてしまいます。
聴覚鈍麻は、声のボリューム調整ができないので常に大声で話す、危険を知らせる音に反応しにくいということがあります。自動車のクラクションに気づかないで道に飛び出すということもあるので、これも注意してあげなければならないことです。
感覚過敏の子どもは、五感のすべてが過敏ということではなくて、一部が感覚鈍麻ということもあって、判別して周囲が対応してあげるためには、感覚過敏と感覚鈍麻の両方の理解が必要になってくるのです。