発達障害は本当に脳の機能障害なのか

発達障害は障害ではなく、生まれつきの特性だと説明されています。障害であるなら、障害者の雇用が義務づけられている時代に、発達障害が就職で特別に不利になるようなことはないはずです。しかし、厚生労働省の見解では、生まれつきの特性に続いて、「生まれつき脳の一部の機能に障害がある」としています。脳の一部の機能の障害があっても、障害者ではないという全員が納得できるような説明はされていません。発達障害者支援法でも「脳機能の障害」と定義されています。
脳の機能に障害があるなら、これを早く発見して、早く改善のための支援をしようというのが発達支援の基本となっています。脳の機能障害があるので仕方がないと考えるのではなくて、改善できるという考えがあるから発達支援を行っているわけですが、その理由として著名人をあげて、発達障害であっても、特性を活かすことによって社会で活躍しているのだから、親は諦めずに支援を続けるべきだということが言われます。
これには二つの点で疑問があげられています。一つは本当に脳の機能の障害がある発達障害であったのかということです。もう一つは脳の機能の障害がないとしたら、これまでとは異なる支援が必要でないかということです。
発達障害と認められるためには、医師による診察と診断が必要です。通常の疾患の場合は科学的根拠に基づいて病名が決められ、病気の治療が行われます。発達障害は病気ではないとしても医師の診断が必要であるというなら、少なくとも科学的根拠があって然るべきです。しかしながら、科学的根拠に基づく診断が確立していなくて、生まれつきという先天性も、脳機能の障害も「単なる説でしかない」と発言する専門家も少なくありません。
科学的根拠に基づいた診断法がないということになると、何をもって診断しているのかが気になります。現状では表面的な兆候から症状を区別する方法が主流であって、医師の主観での診断になりがちです。発達障害児を診なれていない医師だと、どうしてもマニュアルに頼りがちです。発達障害の中で最も数が多い学習障害は、読む、書く、計算するという能力が低下しているのは、実は生まれつきでもなく、脳の機能の障害でもなく、実は学び方を知らなかった、親や教師が個人に適した教え方をしてこなかった結果ということも少なくないのです。