発達障害は熟睡できていない人が多い

発達障害児の特性について話をするのに、大人の飲酒の話から始めてしまいますが、熟睡するために飲酒をしているという人は少なくありません。お酒を飲むと寝つきがよくなるのは事実ですが、これはアルコールによる麻痺の作用によるものです。寝つきはよくても、アルコールによって寝ている間にアルコールの興奮作用によって身体は興奮状態になっています。
興奮状態といっても就寝中のことなので激しく興奮するわけではないのですが、本来なら自律神経で抑制系の副交感神経の働きが盛んになっている就寝中の時間帯に、興奮系の交感神経の働きが盛んになると、副交感神経の働きが低く抑えられて、そのために熟睡ができなくなります。
睡眠は“質”と“時間”といわれていて、睡眠時間が長くても、睡眠の質がよくないと、つまり熟睡ができていないと睡眠中の身体の疲労回復が充分にできなくなり、それが起きている時間帯の神経の働きのほうにも影響を与えることになります。自律神経は波のようにリズムが取られていて、夜に副交感神経の働きが盛んになって充分に休息できていると、昼には交感神経の働きが盛んになって活動的になるという関係になっています。
ところが、このリズムが乱れてしまうと、昼の時間帯なのに身体の中は夜のような状態になって、身体は動きにくい、脳も働きにくいという状態になります。そんな状態では、普通に思えるような行動でも、精神的に負担がかかり、疲労の度合いも大きくなります。
二日酔いになるほど飲んだ翌日に、朝からバリバリと動くような生活をさせられると、一気に疲れて、場合によっては途中から身体も頭も正常に働かなくなってしまいます。その状態が、自律神経の調整が乱れている発達障害児は、ずっと続いています。見た目は普通であっても、そんなことが起こっているということを知ったら、発達障害の苦しさが理解してもらえるのではないかと考えて、このようなことを書かせてもらいました。