緊急事態宣言でも20時までなら外出は自由なのか

新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからなかったということで、一都三県に緊急事態宣言が発令されて、外食店は20時までの時短営業が求められました。メディア報道では外食店の窮状や苦情ばかりが取り上げられていて、肝心な外出自粛のほうが軽んじられたような伝えられ方がされています。特に感じるのは「特に」という言葉がついているのに、それを勘違いされるような表現ばかりがなされていることです。
外出自粛は「不要不急」という言葉がつけられているものの、時間については掲げられていません。1日24時間、一都三県に住んでいる人は、いつでも外出自粛です。勘違いの原因となっているのは「特に20時以降の外出自粛」と書かれていることです。不要不急であれば時間は関係ないはずなのに、わざわさ「20時以降」と書かれて、その前に「特に」と書かれていることで、なんだか20時前の外出が自由と思われてしまっているということです。しかし、言わんとしていることは「常に自粛」です。
国のリーダーが、感染拡大防止のためには何でもする、という主旨の発言をしていますが、それなら、まずは勘違いしないでよい表示を示すべきです。これを放置したままでは、まるで外出自粛と言っておきながら、実は20時までは飲食に出かけてください、といった、GoToトラベルキャンペーンのような印象さえ抱いてしまいます。
だから、テレビのインタビューに「20時前だから大丈夫」「11時から20時までとなっているから昼間に飲みに行く」といった発言を堂々としてしまうことになります。
緊急事態宣言のエリアは一都三県だけから、これは近畿エリアや福岡にも広がり、その後に全国に広げられたときに、20時までに飲食を済まそう、買い物を済まそうということで閉店時間間際にドッと出かける人が増えて、それが3密になり、かえって感染を拡大させる原因になってしまった、ということにもなりかねないのです。