習った歩き方が正しいとは限らない

ウォーキング教室をするときに、「正しい歩き方は誰から習いましたか」と聞くことがあります。いつ、誰からとウォーキング指導を受けたことについて話せる人がいる一方で、「習ったことがない」との答えが返ってくるのが普通のことです。ウォーキング教室で習った人は、その歩き方をすれば問題はないはずですが、関東のウォーキングイベントで変わった歩き方をしている一団に出会ったことがあります。そのグループは背筋をまっすぐに伸ばした姿勢で、肘を直角に曲げて、軽く握った手を前後に動かす腕の振り方で、例は古すぎるかもしれませんが、蒸気機関車のシリンダーのピストン運動を想像させる動きです。
そのイベントは、ポールを使ったノルディックスタイルのウォーキングでの参加は不可の歩きオンリーのイベントだったので、特徴的な腕の使い方をしているグループの方に、もしかしたらと思って声をかけたところ案の定の返答でした。話によると普段はポールを使って歩いていて、前にポールをついて四足歩行のように身体を支えて歩いているとのことで、そのポールウォーキングのままに腕の動きを普通のウォーキングのときにもやっているようです。指導者に「普段から同じ姿勢で歩くように」と言われているということでした。私たちが知っている、そのポールを使った団体としては、そのような指導をしてはいないはずでしたが、伝わり方がうまくいかないと、こんなふうに普段から歩くようになるのかと感じたものです。
ピストン運動の腕の動かし方をしていると、身体の筋肉を効率よく使って、勢いよく前進するための前傾姿勢での歩行がしにくくなります。ウォーキング中の会話で前傾姿勢のウォーキングについて説明をして、試しにやってもらいましたが、腕を前後に動かすと頭が下がって足元を見るような姿勢になります。前を見るように言うと今度は腰が引けた姿勢になって、もっと歩きにくくなります。
ウォーキングの腕の振り方の基本は肘を曲げずに、大きく振り子のように前後に振るようにすることです。腕の振りが大きくなると歩幅も広がって、かかとから着地して勢いよく前進することができるようになります。
習ったそのままに歩いて、違和感を感じたら、他の方に歩き方について聞いてみるか、自分なりに歩き方を工夫するようにするべきだということです。