脳の健康寿命85 健康寿命の延伸は喜べるのか

日本人の平均寿命は男性が81.64歳、女性が87.74歳(2020年)で、過去最高を記録しました。世界ランクでは男性は2位、女性は1位となっています。一時期、女性も2位だったので、返り咲いたと見る向きもあるのですが、実際は1位だった香港が中国に取り入れられて、統計から外れた結果です。
それにしても日本人の平均寿命は延びる一方ですが、ここで問題とされるのが健康寿命の長さです。健康寿命というのは「日常的・継続的な医療・介護に依存しないで自分の心身で生命維持し、自立した生活ができる生存期間」のことを指しています。この考え方は2000年にWHO(世界保健機関)から示されました。
これを受けて、我が国では「日常生活に制限のない期間」として、行きたいところに自由に出かけられる、好きなことができる期間を健康寿命としています。健康寿命に影響を与えるのは、身体の健康状態だけでなく、脳の健康状態、つまり認知症の有無や、その状態が大きく影響しています。
健康寿命が知られるようになったときには、平均寿命と健康寿命の差は男性が9年、女性が12年という発表がありました。女性は平均寿命が長い分、不健康な期間が長くなっています。
健康寿命の統計については2019年(令和元年)のデータを見ると、その当時の男性の平均寿命が81.41歳に対して健康寿命は72.68歳と、その差は8.73年となっています。女性の平均寿命は87.45歳に対して健康寿命は75.38歳で、その差は12.07年となっています。健康寿命の差は短くなる傾向があり、最高の理想は平均寿命と健康寿命の差がなくなることなので、よい傾向ではあります。
最新のデータを知りたくなるところですが、コロナ禍の影響で厚生労働省の調査が行われなくなったり、遅れたりして、2020年、2021年の調査は行われていません。2022年に調査が行われていたとしても、発表は2023年になります。コロナ禍の中で、どのような健康や寿命などへの影響があったのか知っておきたいのに、それがわからないまま対策を取らなければならない状況です。