腸内で発生する水素は効果があるのか

水素水を扱ったテレビ番組では、「水素は細胞内では作られないものの腸内で発生している」という情報を伝えていました。細胞は酸素を取り込んで、二酸化炭素と排出しています。水素が発生することはなく、水素による抗酸化作用を期待するとしたら、水素をガスか溶け込んだ水から取るしかないことになります。その水素が腸内で発生しているということですが、水素を作り出しているのは腸内細菌です。
腸内に水素があるということは肛門からの気体にも含まれていて、約30%は水素となっています。この気体は1日に1〜1.5リットルなので、案外と多くの水素が発生していて、多くの量が出ていることがわかります。腸内環境がよいと、腸内細菌の善玉菌が増えて便通がよくなることは知られていても、水素が多く発生して、腸内の活性酸素を消去するということは、あまり知られていません。
水素水に含まれた水素は水が通過するところに原則的に届けられるので、口腔、胃、腸など範囲は限定的です。腸内細菌が多く棲息している大腸では水素が作られているので、口から肛門までの管の中には水素があります。これに対して水素ガスなら全身に水素を送り届けることができます。酸素は簡単に吸引するボンベや装置はありますが、水素は酸素吸入と同じというわけにはいきません。
腸内で水素が発生しているのだから、水素水や水素ガスを取り込む必要はないという考えはあるものの、この水素は腸管でしか働いてくれないので、腸内だけで終わってしまいます。全身の健康を考えたら、水素水を飲んで、腸管以外の全身の細胞を守るという発想は応援できることです。
水素を取り込むと尿の量が増えるというのは、よく言われます。これは水素のマイナス電子が、マイナス電子が欠けている活性酸素に与えられたあとに、水素(H)2個に酸素(O)1個が結びついて、体内でH₂Oが発生した結果なので、尿が多いということは活性酸素の量が多かった、それを消去できた結果ということができます。