認知症対策の運動は本当に効果があるのか

認知症予防に効果があるとされる有酸素運動は、多くの人が結果を求めて実施しています。厚生労働省の介護予防マニュアルにも認知症予防マニュアルにも有酸素運動としてのウォーキングの認知機能改善効果を示しているのですが、研究者の中には「歩くことよりも外に出て刺激を受けることのほうが効果があるのでは」とか「足腰が衰えないことのほうが大事」という発言をすることもあります。しかし、ウォーキングによる効果は検証が簡単で、1日の歩行数と歩き方と認知症になった人の調査研究をすると結果は明らかです。
とはいっても、歩いていれば絶対に認知症にならないというわけではなくて、認知症のリスクを大きく下げてくれるだけです。しかし、それが重要で、認知症になるのか、その前で止めることができるのかということがわかれば、一生懸命にやるだけの価値はあることになります。ただ、歩くことの認知症予防効果が明らかにされても、どのような人に対して、どのような歩き方をすればよいのか、歩くのと同時に何をすれば効果があるのかということについては、なかなか伝わらず、もっと効果が高まる方法があるのに、あまり効果がない方法に長々と時間をかけている人がいるのは事実です。
そこで、日本メディカルダイエット支援機構が研究して、教育レベルにまでしたのが速歩と普通歩行を繰り返すインターバルウォーキングです。歩くスピードを変えるだけなら、わざわざ資格認定教育までする必要はないと考える人もいるのですが、周辺情報を伝えて、各人が自分に適した方法で続けて、さらに周囲の人に伝えていくには、身体のメカニズムを理解することが重要になります。その考えのもとに、教えるほうも教わるほうも大変な教育に時間をかけてやっているのです。
こんな活動に勇気を与えてくれる発表が経済産業省からありました。それは認知症予防のための製品やサービスの効果についての実証事業です。認知症予防については、タッチパネル上で計算問題を解くドリルや頭を使うパズル、身体や指先を動かす脳のトレーニング、脳機能に影響があるとされる食事メニューなどがあるものの、公的な検証が行われていない場合が多くて、予防効果が見えないことが指摘されてきました。
有酸素運動のウォーキングは今さら検証をする必要はないのかもしれませんが、ウォーキングと他の方法の関連性は重要な検証テーマとなるはずです。経済産業省の実証事業は2019年度から3年間で、製品とサービスを提供する事業者や介護現場に携わる自治体と協力して、認知機能の維持・向上の効果を検証して、結果を公表するとしています。