運動の効果を高めるサプリメント摂取

前回まで、サプリメントとしての三大ヒトケミカルのことを紹介してきましたが、その間に何度かメディア関係者から質問が相次いでいました。その中で一番多かったのは、「シクロデキストリンで加工した三大ヒトケミカルなら誰にも効果があるのか」という内容でした。誰にでも効果があるものなら間違いなく効くはずですが、三大ヒトケミカルの研究を進める中で、効くものも効きにくいという例がみられるようになってきました。効きにくいというのは“効かない”と同じような効きにくいではなくて、これくらいの効果があるという予測を下回ることがある“効きにくい”という状況です。
その効きにくい状態が起こる理由がわかれば、それを応用して、より効果を高める方法もわかることになります。日本メディカルダイエット支援機構が研究するメディカルダイエットは、科学的な身体メカニズムに基づいて、運動と食事、食事と休養、運動と休養のタイミングによって代謝をコントロールする方法です。運動と食事のタイミングだけでなく、運動と栄養摂取も研究していて、運動の効果を高めるヒトケミカルの摂取について紹介しています。
例えば、天然型のα‐リポ酸であるR‐αリポ酸は、細胞のミトコンドリアにブドウ糖を取り込む働きをしていますが、有酸素運動のウォーキングを始めたばかりのときにはエネルギー源としてブドウ糖が多く使われます。R‐αリポ酸を摂取することによってブドウ糖のエネルギー化が進み、早く脂肪酸の代謝に切り換わるようになります。この結果、同じだけ歩いたとしても、体脂肪の減少を進めていくことができるようになります。
脂肪酸の代謝が高まるのは歩き始めてから10分を過ぎてからとなりますが、脂肪酸の代謝を初めに進めるために使われるエネルギーは、ブドウ糖の代謝によって得られているので、R‐αリポ酸の摂取は脂肪酸の代謝を促進させるために効果があることになります。
脂肪酸をミトコンドリアに取り込むために必要となるのはL‐カルニチンで、脂肪酸はL‐カルニチンと結びつくことによってミトコンドリアの膜を通過することができます。脂肪酸の代謝が高まるときには、どんどんと脂肪酸を送り込まないといけないので、これにL‐カルニチンが役立ちます。
ブドウ糖の代謝でR‐αリポ酸、脂肪酸の代謝でL‐カルニチンが必要といっても、歩く前にR‐αリポ酸、歩いている途中でL‐カルニチンを摂るというようなことをする必要はありません。R‐αリポ酸もL‐カルニチンも体内に保持されていて、代謝が高まるときに多くの量が使われるので、いつ摂ってもよくて、体内に蓄積させておけばよいのです。