障害は「障がい」と表記すべきなのか

発達障害児の支援に取り組んでいる日本メディカルダイエット支援機構は「発達障害は障害ではない」と常々主張しています。これに対して「障がい」と書いたほうがよいのでは、と言われることがあります。“害”という文字は危害、公害、害虫にも使われて、悪い結果や影響を及ぼす物事というイメージがあるために、障害者の差別につながるという考えもあって「障がい」という言葉が使われることがあります。
このきっかけとなったのは内閣府の『「障害」の表記に関する結果について』(2010年)で報告されたことで、障がい者制度改革推進本部が設けられたことから、障がいという表記をする企業や団体が増えました。『「障害」に係る「がい」の字の取扱いについて』の中に「表記を改めている都道府県・指定都市」という項目があり、2006年には8道県(北海道、山形県、福島県、岐阜県、三重県、熊本県、大分県、宮崎県)、5市(札幌市、新潟市、浜松市、神戸市、福岡市)が使用を始めましたが、札幌市は先駆けて2003年には始めています。
メディアの場合には、基本は「障害」を使い、障害を抱える人の場合は「障がい者」を使っているところが多くなっています。しかし、言葉の使い方にシビアなNHKの場合には「障害者」を使っています。その理由ですが、障害があるのは人のほうではなくて社会側のほうだ、ということです。障害者が障害を感じるのは本人ではなく、社会との関係性にあるという考えです。
わかりやすい例をあげると、足に障害がある人が2階に行けないのは、階段しかない、エレベータがないという構造に問題があって、このことが障害になっているという考え方です。このような障害に対する理解がなくて、現状のままにしておくことが“障害”となっているのです。さらに言うなら、理解がないことが障害を生み出す元凶で、障害者対策、発達障害者対策は、まずは地域社会の理解を進めることを急がないといけないということを主張しています。