高齢者は感染防止のために充分に離れればよいのか

新型コロナウイルスの変異種は感染力が高まりやすく、イギリスで発見された変異種は70%も感染率が高いという報道がされました。70%も高いというのは従来の70%増し、つまり1.7倍の感染力という意味です。これを耳にして、ソーシャルディスタンスを従来の2mから1.7倍の3.4mも離れればよいのか、ということを口にする人がいました。イギリス型や南アフリカ型などの変異種は、これまで以上に広く飛散するということではなくて、飛散する距離に違いはありません。
飛散して、体内に入ってきてからが違っていて、新型コロナウイルスが入って、人間の細胞と巡り合ったとしても、必ずしも細胞に寄生するわけではありません。その寄生の確率が1.7倍になるということです。その寄生の確率は、人によって違っていて、感染リスクが高いとされている高齢者、基礎疾患(高血圧、糖尿病、脂質異常症など)がある人は寄生しやすくなっています。
ソーシャルディスタンスの距離を長くするのではないとすると、3密(密集・密接・密閉)のうち密集と密閉を避けることを重視させることになります。もちろん2mの距離を保つことが基本となりますが、その距離が確保できない場合にはシールドや衝立などを使用して、飛沫を防ぐことになります。
感染を防止しながら食事をするということでは、4人までの会食にすることがすすめられていて、5人以上は避けるようにと言われています。「5人以上であっても会合に意味があって、それがたまたま食事の時間だったので問題はない」と言い放った人もいましたが、マスク会食であっても5人以上は密集ということになります。5人以上で許されるとしたら、密閉しない空間での会食ということで、アウトドアでの食事かドアを開け放っての食事ということになります。
安全のためには3密のうちの3つが揃わなければよいように言われていますが、高齢者の場合には2つでも、場合によっては1つでも感染リスクが高まってしまいます。