魚の脂肪なら多くとっても大丈夫なのか

肉に含まれる脂肪酸は飽和脂肪酸が多いのに対して、魚に含まれる脂肪酸は不飽和脂肪酸が多くなっています。飽和脂肪酸は常温では固形で、血液中で多くなると固まりやすく、血流を低下させ、動脈硬化のリスクを高めます。不飽和脂肪酸は植物油や魚油に多く、常温では液状で、血液中は固まりにくく、多く摂ることで動脈硬化のリスクを抑えることができます。
動物の血液中で飽和脂肪酸は溶けた状態で流れています。それは動物の血液温度が高いからです。血液温度は羊が約44℃、鶏は約42℃、牛と豚は約40℃となっています。それに対して日本人の血液温度は37℃前後で、低い温度の血液に入ると飽和脂肪酸は固まりやすくなります。
欧米人や北方のアジア人などは血液温度が38℃ほどと高くなっています。そのため日本人には肌寒い季節でも欧米人などは半袖で出歩くことができます。スポーツの国際大会の開会式で、外のスタジアムで小雨が降ってくると欧米人の周りだけ湯気が立ち上っていることを見ることがあります。
その理由は歴史的に脂肪の摂取が多く、エネルギー代謝がよいからで、日本人に比べると飽和脂肪酸が固まりにくく、同じだけの脂肪を摂っても動脈硬化のリスクが低くなっています。
飽和脂肪酸の摂りすぎが動脈硬化のリスクを高めるのに対して、不飽和脂肪酸が多い魚は多く食べても問題がないように思われがちです。しかし、脂肪酸は種類が異なっても1gあたり約9kcalのエネルギー量があります(糖質もたんぱく質も約4kcal)。
余分に摂った脂肪酸は肝臓で中性脂肪やコレステロールに合成されるため、動脈硬化のリスクが高まります。魚だから多く食べてもよいというわけではないのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)