3010運動は「もっと食べよう」という話か

以前に8020運動、8050問題について紹介しましたが、今回の数字は「3010(サンマルイチマル)運動」です。8020運動のように80歳で20本の自分の歯を残すということとも、80歳の親に引きこもりの50歳の子供がいる家庭とも違って、3010運動は食品ロスを減らすための運動を指しています。運動といっても身体を動かすほうの運動ではなくて、活動といったらよいもので、宴会の開始から30分間と、最後(閉宴)の10分前には自分の席に戻って食べ残しを減らすことを推奨しています。
運動の始まりは2011年の長野県松本市で、食育白書や消費者白書に掲載されてから全国各地に広まりました。外食店から出る生ごみのうち調理に関するものは約40%、客の食べ残しが約60%ということで、この活動によって食品ロス削減への意識が高まり、外食店だけでなく家庭から出る生ごみの量も含めて減少に成功した例が続出しています。世界各国は食料不足の途上国に援助をしていますが、それをすべて加えた数量の、なんと2倍の量が日本1か国の食品ロス量という報告もされています。
8010運動を実施するためには、宴会の途中での声かけが大切で、乾杯から30分はおいしく食べること、そして閉宴10分前には席に戻って最後まで味わうことを告げる巧妙な司会も必要です。残りそうなときには食べられそうな人に差し上げるようにする、ということも司会のテクニックの一つです。
もったいない運動の延長ということでは、食べ残しをするのではなくて、持ち帰りをして家庭で食べるべきかもしれません。日本の昭和30年代の高度経済成長期の前には、父親が宴会で帰りが遅くなる日は、宴会料理の残りの折り詰めに詰め込まれたお土産が家族の楽しみでもあったものです。お土産の料理は初めから持ち帰りを前提とした加熱したものですが、今では持ち帰っても衛生面で大丈夫なのかは店に確かめることが必要です。
宴会料理を残さずに食べたら太ってしまうというのは当然の意見で、無理をして食べすぎになる必要はありません。そもそも残ってしまうような量を注文するのが間違いであって、残さず、かといって不足するようなことがない量を注文することから始まります。デザートに当たる料理は、食べたい人にだけ出すということは、3010運動に参加していて、それを表明している店では対応してくれるので、そのような相談もするべきということです。