8050問題と8020運動は違う話

健康づくりのセミナーでのこと、質問コーナーで「8050(ハチマルゴマル)運動は何を目的としているのですか」と質問されたことがあります。そのセミナーでは噛むことの健康効果についても話していたので、“8020運動”ならわかるのですが、“8050運動”というのは公式の言葉ではありません。8020(ハチマルニマル)運動は80歳になっても自分の歯を20本は残そうというもので、自分の歯が多ければよく噛んで食べることができるし、おいしいものを食べるために外出する機会が増えて、健康が維持しやすいということを示しています。
歯の本数は28本で、これに親知らずを加えると32本です。この数字から見ても、50は歯の本数ではないことがわかります。質問者は8020と8050を勘違いしているようでしたが、正式には“8050問題”といいます。80も50も年齢を指しています。これは80歳の家庭にいる50歳のことで、単に高齢者と高齢者を支える人の同居ということではありません。むしろ逆のことで、80歳が50歳を支えています。50歳にもなって親に支えられているというのは何を指しているのかというと、引きこもりです。
引きこもりというと、なんだか若い世代の話に聞こえるかもしれませんが、引きこもりの長期化が増えていて、50歳どころか50歳代、60歳を目前にして社会参加せずに引きこもって、親の世話、それも年金の世話になっている人が増えていることを問題視しての命名です。年金の支給額は生活実態に追いつかず、自分の生活を支えるにも足りない時代に子供の世話にも使われたら年金制度が崩壊しかねないのは当然の考えです。
高齢者の認知症が5人に1人の時代(約700万人)に突入するのは2025年と、わずか6年先のことで、認知症の予備群である軽度認知障害も同数になると推測されています。認知症と軽度認知障害で2.5人に1人となったら、子供を支えるどころか、本人の生活もままならない状態になります。高齢者の自立支援や社会参加によって認知症を予防する事業を国は進めていますが、それと同時に子供も自立させるための事業も必要です。その一助になればと思い、日本メディカルダイエット支援機構は認知機能改善のためのウォーキングと同時に、それを支える世代の社会参加のウォーキングも計画しています。