酵素が減るからやせにくくなるのか

ダイエット関連のサプリメントでは、以前からR‐αリポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10が紹介されてきましたが、今では酵素に人気が集中しています。酵素は全身の細胞の中で代謝に使われていて、20歳をピークにして減っていくことから、20代後半になると代謝が低下して、これが太る要因となっていると説明されています。そのため、減っていく酵素を摂ることで代謝を高めて、ダイエットを成功させようということで酵素が含まれたサプリメントが人気となっています。
この発想はわかるのですが、サプリメントの酵素は植物の酵素であって、身体の細胞の中の酵素とは違うものです。植物の酵素が体内の酵素になるわけではありません。しかし、植物の酵素を摂ると、体内の細胞の酵素が増えることは確認されています。そのメカニズムですが、体内で使われる酵素は肝臓で合成されていて、その酵素は体内では消化酵素と代謝酵素として使われます。消化酵素は食べたものを消化するための酵素で、代謝酵素は細胞内で代謝(生化学反応)に使われる酵素です。植物の酵素は消化酵素の働きをしていて、これを摂ることで体内の消化酵素の量が少なくて済みます。その結果、代謝酵素として使われる分が多くなり、代謝が高まるということです。
代謝酵素が少なくなると、やせにくく太りやすくなるわけですが、酵素を作り出すために肝臓の細胞内で必要になるのは、先ほど取り上げたR‐αリポ酸、L‐カルニチン、コエンザイムQ10です。R‐αリポ酸は天然型のα‐リポ酸で、ブドウ糖を細胞の中でエネルギー代謝を行うミトコンドリアに取り込む働きをしています。L‐カルニチンは脂肪酸と結びついてミトコンドリアの膜を通過させる働きをしています。そして、コエンザイムQ10はミトコンドリア内の代謝酵素を働かせるための補酵素の役割をしています。これらの三大ヒトケミカルが充分にあることによって、ミトコンドリアの中で作り出されるエネルギーが細胞の働きを高めてくれるというわけです。
酵素をサプリメントから摂るだけでなく、三大ヒトケミカルをサプリメントから摂ることが必要であり、ダイエットのためには酵素よりも、三大ヒトケミカルを優先的に摂るべきだということです。