Age free岡山11 歩数計のメリット

健康づくりのために歩くことは重要で、その健康効果も経済的なメリットも研究されています。1日の歩数を増やすことの成果として発表されているデータも多いのですが、そのまま信じてよいのかという議論もあります。

歩数計を渡して、歩数と歩く距離、時間を計測して、その結果を健康度や医療費の削減の度合いと当てはめるというのが普通の方法ですが、歩数計をつけるだけでも歩数は増える傾向があります。健康のために頑張って歩こうとして歩数計をつけるのではなくて、歩数計を渡されたからつけただけという人でも、それ以前に比べると歩数が増えるからです。

記録されると、ちょうど区切りがよいところまで歩数を増やそう、自分で定めた目標に達するように歩こうというのは、特に指示や強制をされなくても起こる一般的な行動です。このことを考慮しないで、歩数計を渡して、以前よりも歩くように呼びかけた結果として健康度の上昇、医療費の削減に結びつけてはいけないのです。

新たな医薬品を開発するときには、プラセボが使われます。これは有効成分が含まれた本薬と、見た目は一緒でも有効成分が含まれていない偽薬を試験対象者に渡して、飲む本人も渡す医師も中身がわからないようにする試験方法です。偽薬でも有効性(血圧や血糖値などの低下)が現れる人もいます。効きそうだという気のせいでも、効果が現れることがあることから、偽薬の効果の分を本薬の効果から差し引いたものが、その医薬品の有効性となるという考えです。

このプラセボは健康づくりのウォーキングでも言えることで、歩数計をつけただけで高まる効果の分を差し引いて、実際の効果を考え、次の対策につなげていくようにします。そうでないと一定の住民が参加して、一定の歩数を歩くことに成功しても、それが継続的な健康効果につながりにくいのは、これまでの歩くことで医療費の削減を目指した自治体で見られたことです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕