110 高血糖で太る

血糖は血液中のブドウ糖のことで、血糖値が高いという人は血液中のブドウ糖が多くなっていることになります。血液中のブドウ糖は赤血球に付着するとベタつくようになり、部分的ではあっても複数の赤血球がくっついた状態になります。赤血球が酸素を運んでいく毛細血管は太さが8μmであるのに対して、赤血球は10μmの大きさがあります。赤血球はつぶれるようにして1個ずつ毛細血管を通過していきます。それなのに複数の赤血球がくっついた状態になっていると、その赤血球は通過することができなくなり、運ばれる酸素が少なくなります。8μmというと蜘蛛の糸の太さです。
全身の細胞では、細胞の中にあるミトコンドリアでエネルギー源のブドウ糖と脂肪酸を取り込み、酸素を使ってエネルギー代謝を起こしています。運動をしたり、身体を激しく使ったときにはエネルギーが多く必要になり、酸素も多く必要になります。その酸素が充分でないとエネルギーを多く作り出すことができなくなります。
血糖値が上昇すると膵臓からインスリンが分泌され、インスリンによって細胞にブドウ糖が取り込まれるために血糖値が下がっていくのが通常のパターンです。しかし、ブドウ糖の取り込みが悪くなると、食事から時間がたっても血糖値が下がりにくくなります。これが糖尿病の始まりです。血糖値が高い状態が続くと、膵臓に負担がかかり、インスリンが分泌されにくくなり、なかなか血糖値が下がらなくなります。そのために血流が悪くなり、酸素不足から細胞の代謝が低下して、ますます太っていくという悪循環になりかねないのです。