230 体内にパワーを溜め込むカーボローディング

運動を始めたときには血液中のブドウ糖が先にエネルギー源として使われて、次に脂肪酸がエネルギー源となります。血液中の脂肪酸が不足してくると脂肪細胞の中に蓄積されている中性脂肪が分解されて使われます。普通は、これだけのことで身体を動かすためのエネルギーは足りるのですが、フルマラソンやサッカーの前後半に出場というような激しく身体を動かすようなスポーツとなると、脂肪酸だけでは不足することになります。というのは、運動をし始めたときにはブドウ糖で、次が脂肪酸という完全な切り替えではなくて、運動を始めたときには脂肪酸も使われていて、運動の後半でもブドウ糖は使われています。その割合が違っているだけで、初めはブドウ糖が多く、途中からは脂肪酸が多くなっているのです。
激しい運動が長く続くと、血液中のブドウ糖では対応できなくなることから、体内に蓄積されているグリコーゲンを分解してブドウ糖として放出され、これが使われるようになります。どこにグリコーゲンが蓄積されているのかというと、主には筋肉と肝臓です。肝臓の中に蓄積されるグリコーゲンの量は100gほどで、それ以上の量が筋肉に蓄積されています。運動をしていて筋肉の量が多い人は、それだけ多く蓄積されているのです。
激しい運動では、通常の蓄積量では足りないので、できるだけ筋肉の中にグリコーゲンを溜め込むカーボローディング(グリコーゲンローディング)が行われます。マシントレーニングなどの筋肉運動をして、そのときに糖質制限の食事をすると筋肉の中のグリコーゲンが減っていきます。次の日に糖質(ご飯やパスタなど)を徹底的に摂ると、筋肉の中に多くのグリコーゲンが蓄積されるようになります。この状態で翌日の運動の本番に取り組むとグリコーゲンを充分に使って走ることができます。
これでもパワーが足りないときには、糖質だけでなく脂質も同時に摂る必要があって、そのときにはケーキをホールごと食べる、しかも甘いものが好きな人でも涙を流しながら食べるといった具合で、身体の中にパワーの源を溜め込むのは大変な苦労が必要になるのです。