293 生活習慣病へのウォーキングの配慮

身体活動や運動は生活習慣病(高血圧症、脂質異常症、糖尿病など)を改善する効果がありますが、心疾患、脳血管疾患、腎臓病などの合併症を抱えている患者も少なくないことから、ウォーキングによる血圧上昇、不整脈、心不全、脳卒中、低血糖などのリスクにも注意を払わなければなりません。
国内の医学系学会によるガイドラインでは、1日に30分以上の中等度の有酸素運動を週に3回以上行うことが望ましいとされています。
◎日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン」
◉中等度の強さの有酸素運動を中心に、定期的に(30分以上を目標に)行う。
※心血管病のない高血圧患者を対象者として設定されている。
◎日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年版」
◉最大酸素摂取量の50%強度が効果と安全性の面から適している。
◉1日30分以上を週3回以上(できれば毎日)、または週180分以上を目指す。
※「運動療法の実施にあたっては、潜在性の動脈硬化疾患や骨関節疾患の合併を探索しておく必要がある」と記載されている。
◎日本糖尿病学会「糖尿病治療ガイド」
◉運動の種類:インスリン感受性を増大させる有酸素運動と筋肉量を増加し筋肉増強効果のあるレジスタンス運動がある。肥満糖尿病患者では、両者を組み合わせた水中歩行が膝への負担も少なく安全で有効な運動である。
◉運動強度:最大酸素摂取量の50%前後が推奨される。程度は心拍数で判定し、50歳未満では1分間に100~120拍、50歳以降では1分間100拍以内に留める。または「楽である」または「ややきつい」といった体感を目安にする。
◉運動負荷量:歩行運動では1回15~30分、1日2回、1日の運動量として歩行は約1万歩、消費エネルギーとしてはほぼ160~240kcal程度が適当とされる。
◉運動の頻度:日常生活の中に組み入れ、できれば毎日、少なくとも1週間に3日以上の頻度で実施する。