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食事摂取基準106 n–3系脂肪酸5
「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、各論のエネルギー・栄養素について説明しています。その中からn–3系脂肪酸の「生活習慣病との関連」を紹介します。 〔生活習慣病との関連〕 n–3系脂肪酸摂取量、特にEPAとDHAの摂取が冠動脈疾患の予防に有効であることを示しました。観察疫学研究が多数存在して、それらのメタ・アナリシスもほぼこの考えを支持しています。 しかしながら、EPA、D
代謝科学100 100kcal消費の歩き方
代謝科学の100回目の連載を祝して(?)、100kcal単位の運動量が得られるウォーキングについて紹介します。 100kcal単位の運動量を知るためには、METSを用いて消費エネルギー量を計算する方法を活用します。消費エネルギー量は、以下の計算式となっています。 「消費エネルギー量(kcal)=体重(kg)×METS×運動時間(h)×1.05(係数)」 この計算式を逆算する方法で
代謝科学99 エネルギーチャージの限界
1日に必要な摂取エネルギー量は、性別、身長、体重、活動量などによって異なりますが、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」(2025年版)に計算法が示されています。これを参考に、多すぎず、少なすぎないエネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)を摂れば健康が維持されるというのは基本的な考えです。 エネルギー源が不足していてはエネルギーも多く作り出せないということになるのですが、それだけで可能なのかとい
代謝科学98 コレステロール対策の運動
有酸素運動によって中性脂肪の分解が進み、血液中の中性脂肪も脂肪細胞に蓄積されている内臓脂肪も減るようになります。中性脂肪もコレステロールも脂肪であることには変わりがないので、有酸素運動によってコレステロールが分解されるように思われることがあるのですが、そのようなことはありません。 コレステロールは全身の細胞膜の材料であり、ホルモンの原料、脂肪を分解する胆汁酸の材料ともなっています。有酸素運動
代謝科学97 中性脂肪対策の運動
血液検査によって中性脂肪値が高いことが確認されると、運動がすすめられます。 どのような運動をすればよいのかということは、医療機関によって伝え方が違っています。医師が概略を話して終わることもあり、中には「歩くようにしてください」と言われるだけということもあります。 医師が概略を話した後に、運動の専門家である理学療法士や健康運動指導士がいるリハビリの担当部門に回されることがあります。
代謝科学96 糖尿病対策の運動
エネルギー代謝の促進が最も活かされる生活習慣病は糖尿病の予防と改善といえます。 糖尿病は血糖値(血液中のブドウ糖の割合を示す値)が高くなりすぎて、細胞のエネルギー代謝が低下するために血管の新陳代謝が低下して、血管の老化が進んでいく疾患です。 血液中のブドウ糖(血糖)は、細胞に取り込まれてエネルギー化されますが、多くのブドウ糖が取り込まれるのは筋肉の細胞です。筋肉の細胞にブドウ糖が多く取
代謝科学95 肥満対策の運動
生活習慣病の改善には食事療法と運動療法の両方が重要だと言われても、治療段階になって医薬品を使っていると食事療法も運動療法も二の次にされることがあります。 しかし、肥満は見た目でもわかりやすく、治療の基本はやせることであるので、やせるためには食事と運動が重要であることもわかりやすくなっています。 ところが、実際には効果的な医薬品が使われた瞬間に、これまでの食事と運動への心がけが消え去って
代謝科学94 エネルギー代謝のための栄養素
日本の栄養学は終戦後の食糧難からの脱却を目指した“食物栄養学”から本格的に始まりました。 必要なエネルギー源が補えない状態を改善するために、食物の研究が行われ、食物を大きく育てること、食物も栄養素を充分に吸収することを目指した摂取・吸収の研究が盛んに行われました。 経済的に回復してくると、今度は食べ過ぎによる弊害が叫ばれるようになり、栄養の不足から過剰摂取対策への研究が移ってきました。
代謝科学93 体内のエネルギーは流れていかない
身体の中で作り出されたエネルギーは、全身を巡るようにイメージされることがありますが、エネルギーは細胞の中で作り出されて、その細胞の中だけで使われています。 細胞の中で作り出されるエネルギーは、食事で摂ったエネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)を細胞の中のミトコンドリアでエネルギー化させる生化学反応によって発生します。 このエネルギーは熱エネルギー、活動エネルギー、神経エネルギーの他に、
代謝科学92 アクティブ・リラクゼーションのすすめ
リラクゼーションというと、心身ともに緊張を解きほぐして、リラックスすることを指しています。医学的にはストレス反応として自律神経の交感神経が興奮するのに対して、副交感神経の働きを優位にすることを指しています。 ゆっくりと身体を休めることが目的とされますが、休んでいるだけでは身体をよい状態に改善することができないというのが、エネルギー代謝科学の考え方です。心身ともに回復させていくためには、エネル