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代謝科学45 メディカルは“療法”を指している

ダイエットは食事療法、運動療法を意味すると前回紹介しましたが、ダイエットが“やせる”という意味だというイメージしている人には“療法”という言葉は抵抗があります。 病気の予防・改善の有無ではなくて、余計な体脂肪が減ってスリムになればよいと考える人に、私たちが研究してきた生活習慣病対策としてのダイエットの話をしても、なかなか通じないということがありました。 そこで私たちは、一般にイメージさ


代謝科学44 ダイエットは生活習慣病対策

ダイエットというと“やせる”という印象があり、やせるために食べる量を減らすという意味で使っている人もいます。しかし、ダイエットのもともとの意味は「方針、戦略、作戦」などで、その意味が正しく使われているのは国会(The Diet)です。 正しい方針に基づいて、正しい行動をするのがダイエットであり、そこから正しい食事をする食事療法、必要な運動をする運動療法がダイエットと呼ばれるようになりました。


代謝科学43 代謝は体内の化学変化

エネルギー代謝は、エネルギー源(脂肪酸、ブドウ糖、アミノ酸)をエネルギー化させることで、その役割をしているのは細胞の中にあるミトコンドリアです。ミトコンドリアには、TCA回路というエネルギー産生の器官があります。 脂肪酸、ブドウ糖、アミノ酸はミトコンドリアの中で化学反応を起こして、アセチルCoAという化合物に変わります。このアセチルCoAがクエン酸となります。TCA回路ではクエン酸をスタート


代謝科学42 体内で脂肪は燃えていない

体脂肪を燃焼させるという言い方は、普通にされていることです。体脂肪は脂肪細胞に蓄積されている中性脂肪のことで、内臓脂肪と皮下脂肪を合わせたものです。 体内に蓄積されている体脂肪が減るのは、燃えるといったほうがイメージしやすいとしても、実際にどうなのかというと、燃えるようなことはありません。 脂肪を燃やすには相当の温度が必要になります。脂肪よりも、もっと燃えやすい紙であっても発火点は20


代謝科学41 コルチゾールによる脂肪分解の促進

体脂肪を分解するには、身体を動かすことが重要で、多くの酸素を吸い込んで、その酸素を使ってエネルギー化させていきます。目覚めている間なら、意識して身体を動かすことで脂肪酸をエネルギー化する脂肪代謝を進めていくことができます。 これに対して、寝ている間には身体活動は大きく低下します。それと同時に脂肪細胞に蓄積された中性脂肪を分解する能力も低下して、脂肪酸をエネルギー化することもできにくくなります


代謝科学40 AMPキナーゼの活用

有酸素運動は、酸素を取り込みながらエネルギー代謝を盛んにしていく運動です。細胞内のエネルギー産生器官のミトコンドリアのTCA回路では酸素を用いて、ブドウ糖や脂肪酸をエネルギー源として代謝が行われています。 TCA回路でブドウ糖と脂肪酸を代謝した結果として、エネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)が作られます。ATPからリン酸が1個離れてADP(アデノシン二リン酸)になるときにエネルギーが


代謝科学39 ウォーキングによる代謝促進

歩く機会が極端に少ない状況では、筋肉量も筋力も大きく低下しますが、これを回復するための運動として実施される筋肉トレーニングの目的は主には筋力の強化です。筋力は強い力を発揮させる筋肉の能力ですが、筋肉の能力には筋持久力と筋代謝力があります。 筋持久力は筋肉の力を長く発揮する能力で、弱めの負荷であっても長く動かし続けることによって高めることができます。 筋代謝力は、筋肉を動かすことによって


代謝科学38 エネルギー代謝と免疫の関係

免疫を高めるためには多くのエネルギーが必要で、そのエネルギー源は糖質(ブドウ糖)と脂質(脂肪酸)です。 全身の細胞は60兆個とされています(一説には37兆個)が、これは全身を構成する細胞だけでなくて、血液中を流れる赤血球と白血球も含まれています。 赤血球は1ℓあたり500万個とされていて、血液量は体重の約13分の1なので60kgの人の場合は4.6ℓとなります。これで計算すると2300万


代謝科学37 エネルギーコントロールvs.エネルギー代謝

臨床栄養の世界に関わり、日本臨床栄養協会の機関誌「New Diet Therapy」の編集をしていたときに、当たり前のように飛び交っていたのが「エネルギーコントロール」という言葉でした。 摂取エネルギーが多くなりすぎることによって発症して、治療にも影響する生活習慣病の高血圧症、糖尿病、脂質異常症(高中性脂肪血症、高LDLコレステロール血症)はエネルギーコントロールの直接的な対象であり、そのた


代謝科学36 見えない世界のエネルギー代謝

ダイエットについて、わかりやすいように説明するときには図を多用しています。図で描けることには限界があって、目に見えるものなら筋肉でも脂肪でも簡単に説明できます。そのために、説明する側(教える側)がイメージしたことは見る側(習う側)と大きくは違ってはいません。 それに対して目に見えないものはイメージ図で描くしかなくて、説明する側がイメージしたことを、そのまま見る側が理解してくれるとは限りません