ウォーキングもできなくなる筋肉量

年齢を重ねると筋肉が減り、筋力が低下してくるという話を先に紹介しましたが、どこの筋肉が低下しやすいのか、という疑問は当然のように湧いてきます。これに関する質問メールもありました。筋肉の低下というと、年齢を重ねた人は上半身が細くなることがあり、また下肢の筋肉は立っているだけでも刺激されるので、それほど落ちないのではないかと思われがちです。しかし、実際に減少するのは下肢のほうです。その中でも減少するのは大腿四頭筋です。大腿四頭筋は太腿の前面を通る4つの筋肉の総称で、立つ、曲げ伸ばしに使われ、身体を支える重要な筋肉となっています。
大腿四頭筋が減少したら、歩けなくなる、立てなくなるということにもなるので、できるだけ維持しないといけないのですが、どれくらいの量があればよいのかということが気になります。筋肉の量は全体的には20歳がピークとされますが、大腿四頭筋は25歳くらいがピークとなっています。これに対して60歳では25%ほどは減少して75%になります。運動不足の人は40%も減少(60%に減少)する場合もあります。大腿四頭筋は、まったく使わない状態(ギプスで固定した場合など)では、わずか2週間でも20%は減少するとされています。これが入院後に立ちにくい、歩きにくいという原因となっています。
大腿四頭筋の筋肉量は体重1kgあたりで20代では25gですが、60代では20g、70代では15gにも低下します。これを下回って10gになると身体を支えることができなくなります。若いときに比べて40%の筋肉量になると立つのに苦労して、普通に歩くのもきつくなります。筋肉の割合は体組成計に乗ることで計測できます。体重に筋肉率をかけると重量がわかります。体成分分析装置(inBody)では筋肉の割合と各部分の筋肉量もわかります。
下肢の筋肉量が減少していたら、それは筋肉量が多い大腿四頭筋の減少であるので、歩幅を広げて歩くだけでなく、屈伸運動、スクワットなどの大腿四頭筋を強く刺激する運動を足腰の健康維持のために実施してほしいのです。