健康情報40 運動神経の活動特性の性差

運動神経は、脳からの運動に関する指令を筋肉まで伝える神経線維のことを言います。運動を理解する上では、運動神経の活動特性を理解することは重要です。

しかし、運動生理学領域では性差に注目して比較検討をした研究は全体の12.5%と非常に少なく、運動神経活動の性差も未解明な点が多い現状がありました。一方で運動神経活動に関しては報告が少なく、性差に関する情報が不足していました。

金沢大学、中京大学、マルボリ大学(スロベニア)、広島大学、マーケット大学(アメリカ)の共同研究グループは、運動神経活性を非侵襲的に計測可能な高密度表面筋電図法を用いて、運動神経の活動を数値化して、性差や非対称(利き手と非利き手の活動の違い)について解析しました。

その結果、女性は男性と比較して運動神経活動が過剰であることを確認しました。特に男性は利き手と比較して非利き手において運動神経活動が過剰である一方、女性は利き手と非利き手の運動神経活動に差がないことを明らかにしました。

運動生理学領域において、性差を対象とした研究は全体の15%に満たないことが報告されています。これは女性特有のホルモンの影響を統制することが難しいことや、皮下組織厚や筋肉量といった組織量の違いなど、さまざまな要因に起因しています。そのため、これまでの多くの研究では男性を対象とすることが多いのが現状でした。

一方で、男性と比較して女性は靭帯損傷のリスクが高いことや、脳卒中という脳の血管の病気では、男性よりも女性がより症状が重度になる傾向があるなど、さまざまな性差が報告されています。

このような性差の根底には運動神経活動のような神経系の活動自体にも性差があるのではないかと考えられたものの、これまでは定量的に測定する針筋電図法は針を筋肉に刺して測定する方法を用いる必要がありました。

近年、高密度表面筋電図を用いることで、皮膚の上から筋肉が動いた際に生じる電気信号から運動神経の活動を数値として捉えることが可能となり、簡便かつ痛みなく運動神経活動を測定することが可能となりました。

この研究では、健常若年者27名(男性13名:22.4±1.0歳、女性14名:22.2歳±0.9歳)を対象としました。対象者の手の第一背側骨間筋に表面電極を貼付して、人差し指を外転(外に開く)させる最大の筋力を測定しました。

その後、最大筋力の10%、30%、60%の筋力を発揮させ、その間の筋活動を測定しました。測定は利き手と非利き手の両方を行い、測定順はランダムとしました。

女性は男性と比較して同程度の筋力を発揮しているにも関わらず、過剰な神経活動が生じていることが明らかになりました。また、女性は運動神経活動に非対称性がないにも関わらず、過剰な神経活動が生じていることが明らかになりました。また、女性は運動神経活動に非対称性がないにも関わらず、男性は非対称性があり、利き手と比較して非利き手の運動神経活動が過剰であることが明らかになりました。

これらの治験は、個別に応じた運動方法への応用、病気や怪我の発症頻度などの解明に応用されることが期待されます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕