朝食抜きを諌めると夕食を抜く人がいる

1日に三食を食べるのは、食事の基本中の基本です。三食というのは朝食、昼食、夕食を指しています。ところが、“1日に3食”と書かれていると、1日に3回、食事をすればよいと考える人も出てきます。食事を栄養素の摂取と考えるなら、朝、昼、晩に食べることにこだわることはなくて、3回の食事でも構わないし、同じ栄養素を摂取するなら2回でも構わないという考えも出てくるでしょう。しかし、食事で摂った栄養素は、取り入れるタイミングによって体内での働きが違ってきます。中でも重要なのは、保持時間の差です。
三大エネルギー源の糖質、脂質、たんぱく質のうち最も早くエネルギーとなり、しかも脳の唯一のエネルギー源となる糖質のブドウ糖は、脳細胞の中では15時間しか充分に保つことができません。この時間をすぎると急にエネルギー切れになるわけではなくて、徐々に減ってきて、脳の機能が大きく低下したまま働くようになります。それでは正常な働きを期待することができなくなります。
夕食を19時に食べて、翌日の7時に朝食を食べたとすると12時間なので、あと3時間の余裕があります。しかし、朝食を抜くと夕食から翌日の昼食までは17時間も開くことになります。これでは2時間もエネルギー切れの時間ができてしまいます。脳のエネルギー不足が起こるということは、頭の働きがよくないということばかりを考えてしまいます。確かに、記憶力や思考力が低下するようになるのですが、それだけがマイナス面ではありません。
脳が全身の働きをコントロールしています。そのコントロールができない時間が1日に2時間もあったのでは、健康を維持することができなくなります。こういったことがあるから朝食を抜いてはいけないというのですが、ダイエットセミナーに参加した女性の中には「朝食抜きがいけないなら夕食を抜こう」と考える人もいます。夕食を抜くと空腹時間は18〜19時間にもなり、もっと全身の健康に悪影響を与えることになるのです。