脂質異常症は夕食後のウォーキングで改善するのか

脂質異常症の改善には有酸素運動が有効であることが医療現場でも紹介されています。有酸素運動は、酸素を体内に多く取り込むことによって、細胞のミトコンドリアでの脂質代謝を高める作用があるのは間違いないのですが、いつ実施するのがよいのかということについては意見が分かれています。しかし、脂質異常症をテーマとしたテレビ番組では、脂質異常症の改善に取り組む人が夕食の後にウォーキングしていることを取り上げ、その人も「夕食後のウォーキングは効果があると聞いたので」という理由で、食後に歩くようにしていました。その効果について、専門家は「夕食後に歩くことは夕食を食べすぎないからよい」とコメントしていました。
メディカルダイエットでは、夕食後のウォーキングは筋肉を減らさずに脂肪を減らすために有効であるということを伝えています。この場合の筋肉に対する効果は、あくまで減らさないということで、簡単にいうと歩けば筋肉が刺激されるという程度のことです。それに対して、より積極的に筋肉を増やして、さらに脂肪の蓄積を減らす方法として日本メディカルダイエット支援機構が紹介しているのは、夕食前の空腹時のウォーキングです。
空腹時には血液中のブドウ糖の量が少ない状態、つまり血糖値が低くなっています。ブドウ糖は運動を始めて、すぐに消費されるエネルギー源ですが、空腹時の血糖値が低い状態で運動をすると血液中のブドウ糖が少ないことから、それ補うために筋肉の中に貯蔵されているグリコーゲンを分解して、ブドウ糖として血液中に放出されます。その後に食事をすると、肝臓で合成されるグリコーゲンが増えることから、ブドウ糖の量が減って、血糖値が通常よりも低めになります。
血糖値が上昇すると膵臓からインスリンが分泌されますが、これは細胞にブドウ糖を取り込ませるホルモンであるとともに、肝臓での脂肪合成を進めるホルモンとしても働きます。血糖値が高ければインスリンが多く分泌されて脂肪合成が進みますが、血糖値が低めに抑えられれば、それに応じて脂肪合成も抑えられることになります。肝臓で合成されたグリコーゲンは筋肉の中に入って、筋肉を増やす方向に働きます。
ウォーキングといっても筋肉を刺激してほしいので、歩幅を広げた早歩きを推奨しています。夕食後に勢いよく歩くことは大変でも、夕食前なら胃の中に食べ物が入っていないので勢いよく歩いて、筋肉が増えるように強く刺激することが可能となっています。