α‐リポ酸は太るのかやせるのか

α‐リポ酸は以前は医薬品成分でしたが、2004年に食薬区分の変更によって食品成分としても使えるようになりました。ダイエットサプリメントの成分として注目されて、当初は広まったものの、勢いがなくなっている印象があります。しかし、ここにきて大復活する兆しが見えてきました。というのは、α‐リポ酸の中でも天然型のR‐αリポ酸(R体)の有用性が明らかになり、非天然型のS‐αリポ酸(S体)の危険性が明らかになってきたからです。
α‐リポ酸は体内で合成されている代謝促進成分として紹介されていますが、合成されるのはR‐αリポ酸です。合成量は20歳をピークに減少していくので体内で不足します。そこでR‐αリポ酸をサプリメントとして摂ることがすすめられます。R‐αリポ酸には重要なエネルギー源のブドウ糖を細胞内のミトコンドリアに取り込み、代謝を促進する働きがあります。
このR‐αリポ酸だけが摂れればよいのですが、R‐αリポ酸は胃液で分解されてしまいます。分解されたらR‐αリポ酸ではなくなります。そこで人工合成したS‐αリポ酸と組み合わせて胃液で分解されにくくしたものがサプリメント成分として使われました。S‐αリポ酸は体内では使われることがないので半分が無駄になる、ということではなくて、糖尿病患者や肥満患者では悪化させることが指摘されています。糖尿病になる人は太っている人が多いことを考えると、S‐αリポ酸が使われたものはダイエットのために使ってはいけないということになります。
R‐αリポ酸は分解される、S‐αリポ酸は危険性があるということで、R‐αリポ酸にブドウ糖の代謝効果があることが認められていても、多くの量を使うことができないということから、ダイエット向きではないと考えられてきました。
ところが、天然型のR‐αリポ酸を胃液で分解されることなく、しかも腸壁から効果的に吸収させる方法が確立され、やっと多くのR‐αリポ酸を摂取させることができるようになりました。その方法というのはシクロデキストリン(環状オリゴ糖)にR‐αリポ酸を包接させる技術で、包接型と表示されているもの、もしくは成分表示にシクロデキストリンと書かれているものなら、この効果があるということです。
R‐αリポ酸とシクロデキストリンについては、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。この事典の中ではR‐αリポ酸はα‐リポ酸の一つとして紹介しています。