やせたのに肝臓に脂肪が溜まるダイエット脂肪肝

ダイエットの前後に名詞がついた言葉は、大抵はよいことを指しています。糖質制限でやせたなら糖質制限ダイエット、ダイエットをして美しくなった女性はダイエットビューティというように。ダイエットをして悪い結果になったときには、あまりダイエットという名詞は使われないもので、ダイエットができたのにリバウンドした場合に「ダイエットリバウンド」とは呼ばれません。その伝でいくと、ダイエットの結果、脂肪肝になってしまったら、これはあくまで脂肪肝であって「ダイエット脂肪肝」という呼び名は変に思われるのですが、一般に使われるようになってきました。
脂肪肝は肝臓に一定以上の脂肪が蓄積された状態のことで、肝臓全体の5%以上の蓄積で脂肪肝と診断されます。中には30%もが脂肪という、まるでフォアグラ状態の人までいるのですが、脂肪が蓄積した部分の肝細胞は本来の細胞の働きをしなくなるために肝機能が低下します。肝機能というとアルコールの分解や解毒が注目されがちではあるものの、他にも身体に必要なタンパク質の合成、酵素や免疫細胞の合成、血液の保存、糖質のグリコーゲンとしての合成、脂肪酸合成など数多くの働きをしています。
ダイエットをすると体内の脂肪が減るので、肝臓に脂肪が蓄積しにくくなるというように思われがちです。ところが、ダイエットのやり方によっては肝臓の脂肪を急激に増やすことになります。それは何かというと、運動をしないで食事を減らすだけでやせた場合です。運動をしないダイエットは筋肉の量が減ります。筋肉の細胞はブドウ糖を取り込んでエネルギーを作り出しているので、筋肉が減ると血糖値(血液中のブドウ糖の量)が上昇して、その多くなったブドウ糖は肝臓に運ばれていきます。肝臓には余分なブドウ糖を脂肪酸に合成する脂肪酸合成酵素があり、肝臓に運ばれるブドウ糖が増えるほど脂肪酸が増えて、それが肝臓内で中性脂肪に合成されます。中性脂肪は脂肪酸が3つ結ばれた貯蔵型の脂肪です。
ダイエット脂肪肝になってしまうのは、筋肉が減ったからで、筋肉を減らさないように運動をしていればよかったわけです。では、ダイエット脂肪肝になってしまったら、どうすればよいのかというと、有酸素運動によって脂肪酸を減らすことで、そのためには有酸素運動の中でも効果がある早歩きをするのがよいとされています。