プラスするのは20分間の早歩きでよいのか

国民の健康づくりを目標を定めて実施する「健康日本21」(第二次)では、1日の歩数は平成34年度に20〜64歳の男性で9000歩、女性で8500歩としています。65歳以上では男性で7000歩、女性で6000歩となっています。この目標を定めたときに比べて、20〜64歳では男性は1200歩ほど、女性は1600歩ほど増やさなければならないことになり、65歳以上では男女とも1400歩ほど増やす必要があります。
一時期の目標であった1日に1万歩と比較すると、随分と少ない目標と感じるかもしれませんが、現状では2000〜2500歩も増やすことは困難で、あまりに高い目標設定は、かえって歩数を増やすことに挑戦しにくくなるという考えもあっての目標設定です。「健康日本21」(第一次)では歩数を増やす目標としてプラス1000歩を掲げたのに、結果は逆に800歩ほど減ってしまったことから、高めの目標が設定されたこともあります。
ただ歩数を増やせと言われても、歩数計をつけて、いつもよりも1200〜1600歩がプラスされれば、それでよいということではありません。65歳以上は1日に8000歩、そのうちの20分間は中強度の早歩き(なんとか会話ができる程度の速歩)の健康効果を示した中之条研究に従うなら、増やす分は早歩きにしたいものです。20分間の早歩きは、歩幅やピッチによっても異なってきますが、だいたいの感覚としては2000歩となります。
1日に8000歩というのはウォーキングの目標ではなくて、1日の歩数です。朝に起きてから歩数計をつけて、夜に寝る前に歩数計をはずしたときにカウントされている歩数が8000歩であればよいわけです。どうせ歩数を増やすなら、心肺機能と筋肉の強化につながる早歩き、それも歩幅を広げて勢いよく歩くようにして、早歩きの健康効果について体感するつもりで歩いてほしいのです。そして、その体感を周辺の方々にも伝えて、一緒にウォーキングに取り組むようになってほしいのです。