三世代スポーツは生涯スポーツのアレンジから

生涯スポーツと言ったときに、言葉の響きからパラリンピックを思い浮かべる人もいます。“障害”という言葉が浮かんできたようですが、パラリンピックの支援をしてきた立場からすると、それは悪い反応とばかりは言えません。生涯スポーツは、生涯を通じて健康の維持・増進を目的として実施されるスポーツです。誰もが、いつでも、どこでも実施できるレクリエーション的な参加しやすいスポーツを指しています。この意義からいうと誰がやってもよいはずなのに、これまでは高齢者や中高年を対象とすることが多くて、あまり子供のためのスポーツではなくて、子供世代、親世代、祖父母世代を巻き込んだ三世代のスポーツにはなっていませんでした。
子供は将来性があり、スポーツ選手を目指すために、本格的なスポーツの前段階として少しルールや用具が異なるものから始めるということがあっても、初めから生涯スポーツとして参加するという発想はなかったようです。生涯スポーツというと体力や機能が低下してきてもできるスポーツというイメージがあり、盛んに行われているメジャースポーツをアレンジしたものが多くなっています。競技人口が多ければ参加者も多く、競技施設も整っているので始めやすくなっています。
例えば、日本バレーボール協会が音頭をとったソフトバレーボール、テニスのアレンジのバウンドテニス、ゴルフのアレンジのグラウンド・ゴルフなどがあります。ソフトバレーボールは子供から高齢者まで楽しめるのですが、競技年齢に入ると中断しがちです。他の生涯スポーツも同じような傾向にあります。本来なら生涯スポーツとして子供が始めても、全員が競技スポーツに移るわけではなく、競技スポーツをする子供のほうが少ない状況から考えると、子供が入りやすく、続けやすい、そして家族だけでなく地域住民も巻き込んで三世代で継続できるスポーツがあってもよいはずです。
生涯スポーツは、どうしても高齢者を頭に抱いて開発されたので、子供にとって面白いのかというと、そうとは限りません。そこで考えているのが、新たなスポーツの開発です。しかし、いざ開発しようとすると、まったく新しいものは作りにくく、考えついたと思ったのに、すでに存在していたということも少なくなりません。そこで考えているのが、生涯スポーツをアレンジして新スポーツを作るか、生涯スポーツのルールを少し変更した新カテゴリーを作ることです。