和食と洋菓子の組み合わせはよくない

糖尿病についての番組を企画しているディレクターから、「食事面での新しい切り口はないか」との問い合わせがありました。新しいと言われても、糖尿病の食事療法は過去に語られるだけ語られてきたので、正しいことだと患者に間違って認識されていることについて取り上げることを提案しました。それは、このコーナーでも述べていることで、「血糖値を上昇させるからとご飯の量を減らすのではなく、糖尿病は細胞がブドウ糖を充分に取り込めない疾患なので、ご飯はある程度は食べないといけない」ということを指しています。
これだけでは足りないかもしれないと思って、糖尿病について感じていることを話しましたが、その中にヒントがあったようです。
糖尿病は糖質の摂りすぎだけでなく、脂質の摂りすぎによっても起こりやすくなっています。というのは、膵臓から分泌されるインスリンはブドウ糖だけでなく、脂肪酸が過剰になっても分泌が高まることから、膵臓に負荷がかかり、働きすぎによって分泌量が急に減ることにもなるからです。そこで糖尿病の治療には、ご飯を減らしすぎるのではなく、脂肪が多く含まれる肉を減らすほうがよいということになりそうです。しかし、糖尿病は血管の老化が進む疾患なので、血管の材料になる動物性たんぱく質を摂ることが必要になります。となると、肉を食べても脂肪を摂らないということをしなければならないこととなって、食材選びは面倒なことになります。
肉の脂肪が問題となると糖尿病には和食が向いていることになるのですが、この和食が糖尿病を悪化させるという考えもあります。和食の調味料といえば「さしすせそ」で、砂糖がトップにきていて砂糖を初めに使うことで味の基本としています。洋菓子は和菓子に比べて砂糖が多く使われるのは、洋食には砂糖が味付けに使われないので、その分をデザートで摂るようにしています。和食は砂糖が使われているので、デザートには砂糖が少なめになっていてよいわけです。
和食で砂糖を摂って、デザートに洋菓子を食べると砂糖の摂りすぎになります。本人は糖尿病にはよい和食を食べていたつもりなのに、洋菓子を食べたら、和食がよくない食事になってしまうこともあるわけです。一つひとつの料理や食品が良いの悪いのというのではなく、全体的に見ましょうという話をしました。
和食の味付けに血糖値が上昇しない人工甘味料を使えばよいのでは、という話が出ました。人工甘味料の基本の成分は胃では分解されないので血糖値が上昇しないということはよいのですが、人工甘味料を使った調味料には人工甘味料以外の糖分が使われたものもあります。だから、私たちは「人工甘味料は血糖値が上昇しない」ではなくて、「血糖値が上昇しにくい」という表現をしています。