支える人を支えるための福利厚生の存在意義

高齢社会は支える側も支えられる側も大変です。「今はまだ高齢化社会で高齢社会ではないのでは」という質問メールを受けました。これは私たちが事あるごとに「高齢社会」と繰り返し使っていることへの反応の一つです。“高齢化”という言葉は“少子”とセットで“少子高齢化”と使われ、頻繁にメディアにも登場することから、高齢化が正式の言葉のように思われているかもしれませんが、私たちは遠慮ぎみに“高齢社会”を使っています。なぜ遠慮ぎみなのかというと、今の状況は高齢社会どころか、それを超えて次のステージに入っていることを知っているからです。
高齢社会に話の前にしなければならないのは、高齢者は65歳以上でよいのかということです。
高齢者を65歳以上とするようになったのは1965年のことで、WHO(世界保健機関)が当時の欧米諸国の平均寿命を調べたところ男性が66歳前後、女性が72歳前後であったことから平均寿命近くまで長生きした人を高齢者としました。その当時の日本の平均寿命は男性が67.74歳、女性が72.92歳であったことから、日本でも65歳以上を高齢者とすることを受け入れたのは納得できるところです。そのときから平均寿命は延び続け、2016年には男性が80.98歳、女性が87.14歳となり、世界トップの座こそ香港に譲ったとはいえ男女ともに世界2位につけています。
高齢化社会の定義を定めたのはWHOです。それによると高齢化社会は65歳以上の高齢化率が7〜14%未満とされています。14〜21%未満が高齢社会、21%を超えると超高齢社会となります。
日本の高齢化率が7%を超えたのは1970年のことで、14%を超えて高齢社会となったのは1995年のことで、すでに23年前には高齢社会となっていたのです。2007年には超高齢化社会の21%を超えていますが、最新データ(2016年調査)では高齢化率は27.3%であり、もっとすごい超高齢社会が目前となっています。28%を超えるのは2020年と予測されています。東京オリンピックに浮かれている場合ではありません。
この超高齢社会になったときには、高齢者を支える人が不足して、今以上に負担が増すのは目に見えています。高齢者の増加にブレーキをかけることは不可能で、高齢者を将来的に支える子供を増やすことも不可能となると、15〜64歳の労働人口とされる方々に頑張ってもらうしかなくなります。その中でも、高齢者が家の中にいる人はもちろんということになりますが、大企業の社員や、社員の健康を大切にする企業に勤める人なら、福利厚生による健康づくりやリラクゼーションの提供も可能ですが、こういった高齢者を“支える人”の職場は小規模のところが多く、健康づくりやリラクゼーションどころから福利厚生すらないというのが現状です。
今の時代、インターネットを通じた福利厚生サービスもありますが、地域密着で“支える人を支える”サービスを実施するのは、なかなか大変なことです。その大変なことに、日本メディカルダイエット支援機構の理事の一人が本業のグループ企業をあげて、岡山県の東備地域という限られたところからですが、取り組みをスタートさせました。具体的な成果については、また紹介させてもらいます。