発達障害児のための腸の健康

腸の働きをコントロールしているのは自律神経です。自律神経は交感神経と副交感神経に分かれますが、腸の蠕動運動と吸収を促進しているのは副交感神経のほうです。通常は交感神経は自動車で例えるとアクセル、副交感神経はブレーキに該当しますが、胃と腸は身体を休めるときに積極的に働いて消化と吸収が進むので、副交感神経によって働きが盛んになっていきます。ストレスが高まると便秘になりがちなのは、副交感神経が働いてほしいときに交感神経が盛んに働いて、蠕動運動が低下しているからです。
発達障害の人は自律神経の調整が乱れやすく、本来なら副交感神経の働きが盛んになって身体を休める時間帯の夕方から朝までの時間帯に交感神経の働きが盛んになって、寝ていても実際には熟睡できていなくて、充分に休めていないことがあります。その影響を受けて、交感神経の働きが盛んになるべき昼間の時間帯に副交感神経のほうが高まって、モチベーションが高まらないままに過ごすという状態にもなりかねません。
寝ている時間帯に交感神経の働きが盛んになっていると、腸の蠕動運動が盛んにならずに、朝になっても便通が高まらないという状態で、これがストレスになってしまいます。また、昼間の活動時間に副交感神経の働きが盛んになって急にトイレに行きたくなるという、これもストレスです。このことによって交感神経の働きが盛んになってしまうと、もっと自律神経の調整が乱れてしまいます。
年齢が進むと自律神経のバランスが崩れやすくなりますが、交感神経は身体の状態によって高まるものの、副交感神経のほうは高まりにくくなります。中高年になると精神的には落ち着いてくると考えられがちですが、実際には副交感神経が盛んにならず、興奮状態になって、これが便通を悪くする原因にもなるのです。だから、若いときから副交感神経の働きを盛んにするように、寝ている時間にリラックスできるようにして、腸の状態を整えるようにしたいものですが、言うのは簡単でも実践するのは大変なことだというのはよくわかっています。