PCR検査をしたくてもできない事情

PCR検査は綿棒で鼻の奥の粘膜から検体を取る方法と、唾液から取る方法があって、今では採取が楽な唾液を検体とする方法が広まっています。楽というのは、検査を受ける人だけでなくて、検査をする人にとっても、ということです。
その楽であるはずのPCR検査が、楽にはできないことになっています。以前のハードルはマイナス75℃の冷凍庫でした。PCR検査の試薬はマイナス75℃以下の温度を保たないと劣化するので、冷凍庫がない限りは検査が実施できません。その重要な冷凍庫が、ワクチンを保存するための冷凍庫と同じ温度だということで、医療機関への提供が最優先されて、PCR検査をする期間には回ってこなかったということがあります。国内メーカーだけでなく、海外のメーカーの冷凍庫も、PCR検査を受託した会社が買い占めのようにして押さえてしまったため、ワクチン摂取が医療関係者に始まったタイミングで、やっと入手できるようになりました。
これでPCR検査ができるかと思ったら、唾液を採取する容器が手に入らなくなっています。綿棒なら簡単にPCR検査用に加工ができても、プラスチック容器で、しかも密閉度が高くて、もしもウイルス感染していても漏れない精度ということになると、簡単に作ることはできません。金型は作れても、専用の容器のプラスチック素材が不足していて、ここでも検査ができなくなっています。唾液は郵送でも送ることができるものの、郵送をするには極度の密閉容器である必要があります。
ここまでくると、単に買い占めで利益を上げている人がいるといった状況ではなくて、PCR検査を増やさないようにすることで利益を上げている人がいるのではないか、それもたくさんいるのではないか、という疑いを抱く人が増えてくるのも当然のことかと思います。なんとかPCR検査に必要なものが手に入ったときには、ワクチンで国民的な集団免疫ができて、あまりPCR検査がいらないというようなことにならなければよいのですが。