232 運動と入浴はエネルギーを作り出すために行う

運動をすることは消費エネルギーとして扱われているので、なんだかエネルギーを使っているだけという感じがするかもしれません。しかし、使う前にエネルギーが作り出されていて、このエネルギーが全身の細胞を正常に働かせる元となっているのです。運動をしないで、普通に暮らしているだけでも、もちろんエネルギーは作り出されています。寝た状態で身体を動かさなくても生命維持のためにエネルギーは使われています。これが基礎代謝で、その量は1日の消費エネルギー量に対して約70%となっています。
通常の生活では20%ほどが身体を動かすために使われる活動代謝となっています。運動をして、通常の2倍の活動エネルギーになったとすると、20%がプラスされているだけとなります。消費エネルギー量として考えると大した量ではないように思われるものの、エネルギーを発生させていると考えると、通常よりも20%も多くのエネルギーが発生しているとなると、通常では使われていないところにプラスされることになるので、細胞の活性化につながります。
細胞の新陳代謝も、細胞の修復も、必要な成分の分泌も、すべて充分に作り出されたエネルギーによって起こっています。入浴をすると体温が上昇して、呼吸数も心拍数も増え、血液循環が高まります。これは運動をしたのと同じ状態です。お湯の温度が40〜42℃になると自律神経の交感神経の働きが盛んになり、身体が興奮状態になります。このときにはエネルギー代謝が盛んになり、体脂肪は減っていきますが、脂肪酸を使って細胞のミトコンドリアで代謝が行われ、エネルギーが発生しています。このあとに眠るなどして身体を休めると、作り出されたエネルギーが細胞の回復などに多く使われるようになっていきます。筋肉の増強は運動をしているときよりも、寝ているときのほうが促進されています。これはエネルギーが活動に使われない分だけ、身体を強化するために使われるからだと考えられています。身体を動かしたり、入浴をしたあとに、身体を休めることは大切なことだったのです。